
2028年4月1日から、労働者50人未満の事業場でもストレスチェックが義務化されます。
これにより、企業にはこれまで以上にメンタルヘルス対策が求められるようになります。
私は管理栄養士として、休職者の復職支援面談やメンタルヘルス相談に携わっています。
その中で、メンタル不調を抱える方の多くに、食事バランスの偏りや特定の栄養素の不足が目立つことを実感しています。
厚生労働省が定める標準的なストレスチェック(57項目)には、食生活や栄養に関する項目は含まれていません。(企業独自の健康チェックで追加される場合もあります)
しかし、食事の乱れは生活習慣病だけでなく、メンタル不調のサインとしても重要です。
人事・管理職・同僚の方が早期に不調に気づくために、そして自分自身の予防のためにも、今回は食事で気をつけたいポイントをわかりやすく紹介します。
食事とメンタルヘルスの関係
メンタルヘルスというと、仕事の負荷や人間関係など心理的・社会的な要因に注目しがちですが、近年の研究では、食事内容が脳の働きやストレス耐性に大きく影響することが明らかになっています。
脳は私たちが食べたものからつくられています。
つまり、栄養状態はそのまま心の状態に影響する可能性があるのです。
例として以下が挙げられます。
・ 糖質の偏り:血糖値の急上昇・急降下を招き、イライラや集中力低下につながる
・ たんぱく質不足:神経伝達物質の材料が不足し、気分の落ち込みにつながる
・ 鉄、ビタミンB群、n-3系脂肪酸(DHA、EPAなど) の不足:疲労感や意欲低下と関連がある
実際の面談でも、糖質中心の食事や、肉・魚などの主菜が不足しているケースが多く見られます。
だからこそ、ストレスチェックだけでは拾いきれない食生活のサインに気づくことが、メンタル不調の早期発見や予防に役立ちます。
メンタルヘルスに関わる栄養素のとり方
糖質に偏った食事(例:菓子パンだけ、カップ麺+おにぎり)
不足しがちなたんぱく質・ビタミン・ミネラルを少し足すだけでバランスが整います。
「菓子パンだけ」の場合
・ たまごサンド・ハムサンドなど、たんぱく質を含むパンに置き換える
・ 置き換えが難しい場合は、牛乳・ヨーグルトをプラス
・ 余裕があればサラダや果物を追加
「カップ麺+おにぎり」の場合
・ ゆで卵・サラダチキン・ツナなどたんぱく質を追加
・ 冷凍野菜・乾燥わかめをトッピング
・ 糖質は「1食につき1品」を目安にする
たんぱく質が不足している(例:肉・魚などの主菜がない)
忙しい人や食事量が少ない人は、手軽にとれる食品を活用しましょう。
・ ゆで卵やかまぼこ、ちくわなど
・ ツナ缶、焼き鳥缶などの缶詰
・ 牛乳、ヨーグルトなどの乳製品
・ ツナおにぎり、たまごサンドなど、「主食+たんぱく質」が一緒にとれる食品
鉄分やビタミン類が不足している(例:副菜がない、野菜・海藻が少ない)
普段の食事に少し足すだけで補いやすくなります。
・ インスタントスープやカップ麺に乾燥野菜・わかめを追加
・ 鉄分は「動物性(肉・魚)」の方が吸収されやすいため積極的に食べる
・ 卵や貝類、ほうれん草などの鉄分は吸収されにくいため、ビタミンCが含まれる食材(野菜・果物など)と一緒にとることで吸収率がアップ
理想は「主食・主菜・副菜」が揃った食事ですが、最初から完璧を目指す必要はありません。
今の食事に少し足すだけでも、心と体の調子は変わっていきます。
職場での食事に見られる変化
職場では、食行動の変化がメンタル不調のサインとして現れることがあります。
・ 間食が増える
・ 机の上にジュースやお菓子が常に置かれるようになる
・ 昼食を一緒に食べなくなる
こうした小さな変化も、心身の負担が高まっている可能性があります。
ただ、食に関する話題はデリケートです。
観察するときはあくまでそっと見守る姿勢が大切です。
気づいたとしても、いきなり食事内容に触れるのではなく、以下のような体調全般への声かけが、相手にとって安心につながります。
「最近疲れていない?」
「無理していない?」
もちろん、メンタル不調の背景や症状は人それぞれで、これが正解という対応はありません。
それでも、食事や生活習慣の変化に気づけることは、職場でのメンタル不調の予防や、早期発見につながる大切なヒントになります。
今回の内容が、職場で働く誰かの気づきや、自身のセルフケアの参考になれば幸いです。





















