こんにちは、産業カウンセラーの田野です。
最近の日本は情報技術(IT)社会にすっかり染まっています。
私たちが普段使っているスマホやタブレットのアプリ、AI(人工知能)に至るまで、ITを使用したサービスはどんどん増え続けています。
それに伴って、いわゆるIT企業が急激な勢いで増え続けています。
そんな中、IT関連労働者のメンタルヘルスも増え続けており、警鐘を鳴らしたのがテクノストレスです。
テクノストレス?
テクノストレスとは、アメリカの心理学者であるブロードによって作られた造語です。
コンピューターに代表されるテクノロジー優先の社会がもたらすさまざまな弊害、コンピューター関連職種のストレスを指します。
テクノストレス2つの分類
テクノストレスは大きく次の2つに分類されます。
・コンピューターへの過剰適応にあるテクノ依存症
・コンピューターに対して適応不安を抱くテクノ不安症
テクノストレスにまつわる呼ばれ方
IT関連作業やインターネットへの過度の依存状況に関して、テクノストレス症候群、VDT作業症候群、システムエンジニア・プログラマー症候群、インターネット症候群、グーグル症候群など、身体症状を含め多くの呼び方がされています。
対応をめぐって
この課題に対応するため、まずは、テクノストレスの訴えの内容や程度はさまざまであるということを理解しなくてはいけません。
したがって、相談者にとってのテクノストレスが何かをまずは正確に把握する必要があります。
従事しているIT関連作業の内容や就業状況、VDT作業の有無や時間数など、各種要因を調査します。
職場環境の調整
SEなどの職場では、徹夜が続く繁忙期と閑散期の落差が大きく、そのために睡眠障害がしばしば生じることもあります。
職種や職場環境の特殊性を考慮した適切な助言を与えることが必要になりますが、職場によっては勤務形態の変更が不可能なこともあります。
他職種への転換も考慮しなくてはいけない時もあるものの、専門性からの選択肢が限られてしまうことからも苦慮することがどうしても多くなります。
対人関係の調整
コンピューターとの付き合いは得意でも、職場の人間関係が苦手な人も多いのが一つの特徴にもあります。
趣味もパソコン関連に偏ってしまい、休日の過ごし方もインターネットに依存してしまうことも傾向としてあります。
ただ、コンピューターから距離を置くような措置だとかえって不安を増大させてしまうこともあります。
生活のありかた全体についての指導でしょう。
原因疾患に対して
IT関連職では、心身の疲労が誘因となって、いわゆる「消耗性うつ病」「疲弊うつ病」になりやすい傾向もあり、特に20代から30代にかけての働き盛りに多く見られます。
また、心身症もテクノストレスの関与が高い疾患として注目されています。
ストレスに対する自覚が乏しく仕事に没頭するタイプの人も多く、ストレスを身体で受け止める傾向があります。
まずはそのことを自覚し、認知行動療法など種々の治療法を加味していくことが大切になります。