今夏は連日にわたり酷暑が続きましたが、体調を崩されてはいませんか?
皆さんこんにちは、精神保健福祉士の笹井です。
働くみなさんにお役立ていただく「産業保健新聞」。
今回は、体や心とは違った所に焦点を当ててみたいとおもいます。
お題は「スピリチュアリティ(霊的)の健康」です。
え? スピリチュアリティ? と思われる方もいらっしゃるのは重々承知ですが、皆さんが想像するものとはちょっと色合いが異なりますので、どうぞ安心して読み進めてください。
スピリチュアリティ(霊的)の健康とは
オーラを見て人生相談、占いで改名、心霊写真を見て先祖供養、おどかしにかかってくる心霊映像……。
これらもスピリチュアリティと呼ばれますが、今回は取り上げるのはその類のものではありません。
スピリチュアリティとは、その人の信念、価値観、自尊心、信仰など、その人がその人らしくあるために持っているものです。
イメージとしてすこし捉えにくいかもしれませんので例をあげましょう。
- あなたが生きていく上で大切にしていること
- あなたが人に見られていない所でも絶対にしたくないこと
- あなたの希望や願望
- 信じられるものや教え
- 生きていく上での意味
- 家族や大切な人に対する思い
上記のように「これがなければ私ではない!」というものを指します。
スピリチュアリティ はその人を形作る基礎的なものなのです。
スピリチュアリティが傷つくとき
肉体的や精神的にダメージを受ける状況は想像しやすいかもしれません。
過酷な労働を強いられてヘトヘトだ、上司に叱り飛ばされて落ち込む、なんかがそれにあたりますね。
スピリチュアリティも傷つくときがあります。
スピリチュアリティに関する理論で、有名な村田理論では以下の3項目で喪失や低下が起こった際に、スピリチュアリティは傷つくとされています。
- 将来の喪失(時間性)
- 他者の喪失(関係性)
- 自律性の喪失(自律性)
たとえば、末期がんの患者さんは「自分はもう消えてなくなってしまう存在だ」(将来の喪失)、「自分を失うとともに、友達や家族、愛しい人とも会えない」(他者の喪失)と思ってしまったり、「自分は何もできない人間だ、誰にも必要とされない人間だ」(自律性の喪失)と考えてしまったりします。
スピリチュアリティが傷つくときは、何らかの病気であったり、ライフイベントであったり、大きなストレスを及ぼすことが起きていると考えられます。
あなたのスピリチュアリティは大丈夫でしょうか?
例に出したような考えが浮かんできてしまうときは、自分のスピリチュアリティが傷ついていると自覚したほうが良いでしょう。
スピリチュアリティを健康にするには
ライフイベントや病気など、人間が避けては通れないものです。
スピリチュアリティを健康に保つにはどうすればよいのでしょうか?
いくつかそのヒントをご紹介します。
あなたの信頼のおける人に、自分が置かれていることを相談する
過去の自分と現在の自分がつながっており、未来の自分がどうすればよいのかを考える作業です。
必ずしも答えを出さなくてはならないものではありません。
答えが出なくても良いのです。
ですので、信頼のおける人は、亡くなった方でもかまいません。
お墓や仏壇に手を合わせて相談をするのも一つです。
信仰しているものに頼る
日本人は無宗教であるといわれますが、もともと日本人は多神教を信仰していましたので宗教に対しては寛容です。
ある人にとっては信仰は絶対的なものにもなりますし、生きていく上での指針にもなります。
無理やり信仰を持てということではありません。
無宗教だけどパワースポットめぐりをしてストレス発散するとかでも良いのです。
自分が生きていると感じられること
自分が好きなこと、生きていると感じられること。
ご飯を食べる、寝る、温かいお風呂に浸かる、好きな音楽を聞く、絵を見る、アニメを見る、スポーツをする、好きな人と会う、など体や心が喜ぶことをしてあげましょう。
日々生きていくためにしていることですが、生きていて良かったと思えること、多少の贅沢でもかまいません。
大切な自分にしてあげましょう。
私はお盆休みに実家に帰り、お墓参りをしてきました。
自分が親しかった故人に対して報告や相談をしましたが、あんな風に答えただろうなとか、こう感じただろうななんて思いました。
前を見て進むのも大事ですが、一旦過去を振り返って、今の自分、未来の自分を考えるのも大切ですね。
皆さんも、心も体も、そしてスピリチュアリティも健康に過ごせますように。
それでは皆さん、さようなら。