2018年の夏は猛暑が続き体調を崩された方も多いのではないでしょうか。
消防庁によると、平成30年4月30年~9月16日までに熱中症により救急搬送された人員数は9万人を超え、昨年度よりも約4万人多いそうです。
今年の夏はしっかり熱中症対策をしなければ乗り越えられないくらいの猛暑でした。
さて、皆さん、熱中症対策は個人個人でするものであり、熱中症になるのは各個人の責任だと思ってはいないでしょうか。
熱中症は会社の責任になる?
もちろん、万全に熱中症対策には、自分自身が心がけなければいけません。
しかし、業務中に熱中症になった場合、「各個人(従業員)の責任」だけではないのです。
業務環境における会社の責任が問われ、また、数は少ないですが書類送検される場合もあります。
書類送検されたケース
2018年、横浜西労働基準監督署は、ヤマトエンジニアリング株式会社と代表取締役を、労働安全衛生法22条に違反したとして横浜地検に書類送検しました。
<労働安全衛生法>
第二十二条 事業者は、次の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
一 原材料、ガス、蒸気、粉じん、酸素欠乏空気、病原体等による健康障害
二 放射線、高温、低温、超音波、騒音、振動、異常気圧等による健康障害
三 計器監視、精密工作等の作業による健康障害
四 排気、排液又は残さい物による健康障害
理由は、熱中症の疑いがあるにも関わらず塩と飲料水を備え付けずに、炎天下かつ多量の発汗を伴う作業場での業務に就かせたからです。
また、それに加えて通気性の悪い作業着も原因だと考えられています。
従業員の方は、救急搬送されましたが熱中症により2日後に亡くなってしまいました。
ヤマトエンジニアリングは、これに対し、「各自で用意すると安易に考えてしまった」と述べています。
会社でも必要な熱中症対策
従業員を守るため、そして上記のような事故を防ぐために、会社で熱中症対策に取り組むことが必要です。
ヤマトエンジニアリングが述べた「各自で用意する」という考えは、ほとんどの会社が思っているのではないでしょうか。
しかし、個人任せにするのではなく、熱中症を防ぐための環境作りや飲料水の提供など、会社でできる対策をすることも会社の責任です。
熱中症はどんな人でも、どんな会社でも起こりうるものです。
とくに、現場で作業する従業員に対しては細心の注意を払うことが大切だと思います。
9月に入っても熱中症で救急搬送された人員数は600人超えと少なくありませんでした。
引き続き熱中症対策をするとともに、来年の夏に備えて会社でできる対策を考えていただければと思います。
<参照>
・ 総務省消防庁「熱中症情報」