いよいよ4月の新入社員の入社を間近に控え、企業の人事担当者も受け入れ準備の仕上げに入っている頃かと思われます。
入社時に交わす書類は企業によると思いますが、中には法律上、必ず従業員に交付しなければならない書類があるので注意が必要です。
労働条件を明示した書類が必要
入社後のトラブルや紛争を未然に防ぐため、労働基準法では、雇い入れ時に労働条件等を書面にて明示しなければならないとしています。
一般的には『雇入れ通知書』と呼ばれるものになり、具体的な明示項目は以下の通りです。
1.労働契約の期間
2.就業場所、従事すべき業務
3.始業終業の時刻、超勤の有無、休憩時間、休日、休暇等労働時間に関すること
4.賃金(計算方法、支払い方法、締め支払い時期)に関すること
5.退職に関すること(解雇事由も含む)
また、雇い入れ通知書とよく似たものに『雇用契約書』があります。
雇い入れ通知書はその名の通り、会社から一方的に通知する形式ですが、雇用契約書は
会社と労働者が双方確認し、それぞれ署名をする形となっています。
上記の雇用条件を明示しているものであれば、どちらを使用しても構いません。
雇い入れ通知書非交付は労基法違反
先にも述べましたが、これらの書面は未然にトラブルや紛争を防ぐために、法律で定められています。
実際、最初に労働条件を明示していなかったために、のちに労働トラブルや裁判に発展する例が少なくありません。
労基の監査でも、問題のある会社ほど通知書が存在しない割合が高いと言われています。
雇い入れ通知書を交付しなかった場合、法律違反となり(労基法15条)、最悪の場合、刑事処罰の対象になることすらあるのです。
口頭での明示でよい項目も有り
最後に補足となりますが、制度を設けた(存在する)場合のみ明示すべき項目もあります。
- 昇給に関する事項
- 退職手当に関する事項
- 賞与など
- 食費や作業用品に関する実費費用など
- 安全衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害補償、業務外の傷病扶助
- 賞罰に関する事項
- 休職に関する事項など
これらについては口頭での明示でもよいとされています。
ただし、内容が複雑なものであったり、後のリスクを考えた際に必要と思われるものについては、
できるだけ書面に残しておくことをお勧めします。
不要なトラブルを避けるためにも、会社側と従業員が十分に雇用条件を確認し、理解しておくことが重要です。