WHO憲章がはじめて設定された4月7日を記念して、1950年以来、毎年4月7日が世界保健デーと定められています。
今年のテーマは「健康格差」です。
今回はこの「健康格差」についてお話したいと思います。
そもそもWHOって何?
世界保健機関(World Health Organization:WHO)について、昨年からコロナのニュースの中で聞くことも多くなりましたし、2020年にはアメリカのトランプ大統領が脱退を表明したことでも話題になりました。(バイデン政権になり脱退は撤回されました)
1948年4月7日に、すべての人々の健康を増進し保護するため互いに他の国々と協力する目的で設立され、現在では194の国と地域が加盟しています。
高血圧、肥満、がん対策などにおいて国際的なガイドラインを策定するほか、現在のコロナ禍のような状況では感染症の認定し、感染リスクの低減や各国の情報収集と行い、世界的に協力が必要な取組みの指揮をとる非常に重要な役割を担っています。
ワクチンをめぐる「健康格差」
今年このテーマになったのは、先進国と途上国でのワクチンに関する格差が世界的に問題となっていることが背景にあります。
2021年1月18日のWHO事務局長の言葉の中では
「現在、49か国以上の高所得な国で3900万回以上のワクチンが投与されていますが、ある低所得な国では25回しか投与されていない」
と言及しました。
地域でみると欧州各国やアメリカ、中国などはワクチンの確保・接種がすすんでいますが、アフリカなどの経済力に劣る発展途上国での接種が遅れています。
公正にワクチンの配分をするために、WHO主導で2020年に立ち上げたワクチンの共同購入の枠組み「COVAX」には、日本や中国など170国以上が加盟していますが、アメリカやロシアなどの一部の国は加盟していません。
WHOは一部の国や企業が「COVAX」を通さずに二ヶ国間での取引により利益をあげ、一部の国にワクチン確保が偏ることを問題視していて、全ての国が協力することで健康格差が是正されることを呼びかけています。
日本国内での「健康格差」を考えてみる
あまり実感は無いかもしれませんが、日本の医療保険制度は世界的にとても高水準です。
「国民皆保険制度」といって日本国民全員が平等に公的な医療保険の対象となり、原則3割のみの負担で医療サービスをうけることができます。
しかしそれでも格差は存在しています。
ある調査では世帯所得が600万以上の世帯に比べて、600万未満の世帯では野菜の摂取量が少なく栄養バランスが欠けている傾向があると分かっています。
その他、所得の低い人や教育年数の少ない人ほど健康診断を受けない傾向があるなど、所得の差が健康格差につながっているのです。
コロナ禍において、都市部と地方との医療体制の格差、正社員と非正規社員との格差、日本と世界との格差など、さまざまな格差がより明らかになったのでないでしょうか。
この記事を読んで少しでも「健康格差」が気になった方は、公営社団法人日本WHO協会のHPをぜひチェックしてみてください。
また、会社としてコロナワクチンの接種について、就業中の接種を可能したり、費用負担を検討するなど少しでも「健康格差」をなくすための策を考えてみてはいかがでしょうか。
先日公開した以下の記事も、ぜひご覧ください!
<参考>
・ 公益社団法人日本WHO協会「2021年の世界保健デーのテーマは『健康格差』」
・ 平成21-25年度文部科学省科学研究費新学術領域「社会階層と健康」発表 「日本の『健康社会格差』の実態を知ろう」