質の高いインターンシップってどんなの?「産学協議会基準準拠マーク」が決定

企業が大学生向けに行うインターンシップが年々普及しています。
株式会社マイナビが2022年10月に公表した「マイナビ2024年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査~中間総括~」によれば、インターンシップ・ワンデー仕事体験に参加した学生の割合は前年比4.0pt増の87.6%で、調査を開始した2015年以降、最も高い数値となりました。
コロナ禍の影響により、2020年、2021年は減少傾向にありましたが、今年は回復し対面での実施も増えてきています。

1日以下のインターンシップが9割

インターンシップといっても、数時間~1日のものから2週間以上の長期にわたるものまで多種多様ありますが、株式会社リクルートが2022年11月に公表した「2024年卒インターンシップ・就職活動準備に関する調査」によれば、インターン期間別の参加状況は「1日以下」が9割にものぼります。
「1日以下」の場合、内容としては、「自己分析をする」「業種や企業の説明を受ける」「直接社員に質問できる質問会など」の割合が多く、実際に会社の実務を体験するような内容は少ないようです。
採用と大学教育の未来に関する産学協議会では、企業説明やワークショップのみで業務をまったく経験しない「インターンシップ」と称する短期プログラムが多数占めている実情を、インターンシップ本来の機能である「学生のキャリア形成支援」が十分に発揮されていないと問題視しています。

5日以上のインターンシップは満足度が高い傾向

実際、プログラム内容別の満足度をみると「1日以下」にくらべ「2日以上~5日未満」「5日以上」と期間が長い程、満足度が高くなっています。
特に「社員の補助的な業務の一部を経験する」においては「1日以下」48.7%、「5日以上」81.7%となり、差が最も大きくひらきました。
参加して良かった点においても、参加期間が長いほど「企業や職場の雰囲気を知ることができた」「自分のスキルを見極めることができた」「参加企業の社員が親身に対応してくれた」「一緒に働きたいと思える社員に出会うことができた」などの回答率が高く、参加者は実際にその企業で働くイメージをもつことができたことが伺えます。

質の高いインターンシップの普及に向けて、「産学協議会基準準拠マーク」が決定!

採用と大学教育の未来に関する産学協議では質の高いインターンシップには実務体験が必須という考えの元、以下の要件を満たす企業には「産学協議会基準準拠マーク」を付与することになりました。
また企業にも質の高いインターンシップの実践協力を呼びかけています。

<産学協議会基準準拠マーク付与の要件>
★就業体験要件:学生の参加期間の半分を超える日数を職場での就業体験にあてる
★指導要件:就業体験では、職場の社員が学生を指導し、インターンシップ終了後、学生に対しフィードバックを行う
★実施期間要件:適性や汎用的な能力を重視する場合:5日間以上、専門性を重視する場合:2週間以上
★実施時期要件:学部3年、4年ないしは修士1年、2年の長期休暇期間(夏休み等)※大学正課および博士課程は、これに限定されない
★情報開示要件:募集要項等に、以下の項目に関する情報を記載し、HP等で公表する
① プログラムの趣旨(目的)
② 実施時期・期間、場所、募集人数、選抜方法、無給/有給等
③ 就業体験の内容(受入れ職場に関する情報を含む)
④ 就業体験を行う際に必要な(求められる)能力
⑤ インターンシップにおけるフィードバック
⑥ 採用活動開始以降に限り、インターンシップを通じて取得した学生情報を活用する旨
(活用内容の記載は任意)
⑦ 当該年度のインターンシップ実施計画(時期、回数、規模等)
⑧ インターンシップ実施に係る実績概要(過去2~3年程度)
⑨ 採用選考活動等の実績概要 ※企業による公表のみ

長期間にわたって受け入れるには企業側にも体制や人員が必要となるため、5日以上のプログラムの実施が難しいという企業もあるかと思います。
しかし、入社前に企業と学生のミスマッチを防ぐことができ、優秀な人材の採用につなげることができれば長期的にみて企業としてのメリットも大きいはずです。

売り手市場が続く中で人材確保するためにも、「産学協議会基準準拠マーク」の取得を目指してはいかがでしょうか?

<参考>
・ 採用と大学教育の未来に関する産学協議会「質の高いインターンシップの普及に向けて、「産学協議会基準準拠マーク」を決定しました!」
・ 株式会社マイナビ「マイナビ2024年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査~中間総括~」
・ 株式会社リクルート「2024年卒インターンシップ・就職活動準備に関する調査」

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須田 友梨佳株式会社ドクタートラスト 大阪支店

投稿者プロフィール

大学卒業後に入社した会社では「働き方改革」が足かせとなり、残業できず苦しむ社員や余計に仕事が増えてしまうような状態をみてきました。働く人達が、健康に前向きに働くことができる職場環境を目指して、勉強し発信していきたいと思います。
【保有資格】健康経営アドバイザー
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