一度は会社を退職したものの再び戻ってくる、いわゆる“出戻り社員”が増えています。
「カムバック制度」「ウェルカムバック制度」「ジョブ・リターン制度」「アルムナイ制度」など、企業によって呼び名はさまざまですが、約7割の会社が、一度辞めた社員を再雇用したことがあると答えるほど“出戻り”を認める風潮が高まっています。
働く側のメリット
退職の理由には、結婚や育児、家族の介護、パートナーの転勤など、やむをえない場合と、海外へ留学したい、資格を取るために勉強したい、大学を卒業して今の会社しか働いたことがないけど、他の会社ってどうなんだろうといった完全自己都合型にわけられます。
どんな理由であれ「一度辞めた会社に戻ってくるなどありえない!」と考える人や会社は少なくないのではないでしょうか。
「育児や介護が一段落した」「転勤から戻ってきた」「子どもがある程度大きくなったからもう一度バリバリ働きたい」などといった方であれば非常にうれしい制度です。
また、「自分のやりたいことのために退職したけれど、やっぱり前の会社が働きやすかった」と離れてみてはじめて自分が働いていた会社がよく思える場合などもあるかもしれません。
以前働いていた会社であれば、働く仲間や会社の勝手がわかっているため、働き始めてから「こんな会社だと思わなかった」「働いてみると結構キツイな」などといった就職のミスマッチを防ぐことができます。
しかしながら「自己都合で辞めた手前、戻りたいなんて言えない」と考え、あきらめて他の会社に転職するケースが多いのも事実です。
では、出戻り社員を再雇用する会社側のメリットはないのでしょうか。
企業にこそ大きなメリット!再雇用で得られる3つのこと
一度辞めた社員は二度と敷居をまたがせないという企業文化も珍しくはない中、なぜ“出戻り社員”を認める会社が増えているのでしょうか。
① 即戦力として活躍
元々働いていた社員は、会社のルールやシステムを理解しているため、即戦力として活躍してくれるほか、転職していた社員であれば他社での経験や以前よりもスキルが上がっていることも考えられます。
中途採用で新しく社員を採用するよりもメリットは大きといえるのです。
② コストの削減
採用・研修のコストを削減できるほか、一度辞めているという気持ちがあるため、安易に離職を考えることはなく、高いモチベーションを持って仕事をしてくれるでしょう。
③ 採用時のミスマッチ
働く側のメリットでもあったように、採用後のミスマッチが少ないことが考えられます。
どんな人物かすでにわかっているので安心感があり、適性にあった配属も可能でしょう。
注意すべき点
出戻り社員がスキルアップして戻ってくることは、会社にとっては良いことですが、一度辞めた社員が好待遇で戻ってくることをおもしろくないと思っている人は多く、既存社員のモチベーションが下がることも考えられます。
辞めずに頑張ってきた社員に対する配慮も忘れず、うまくバランスをとることも必要でしょう。
また、社員の退職を後押ししてしまうリスクも考えられるため、安易に辞めてしまう人が増えないようにすることも注意すべきポイントです。
人材不足が続く日本では、今後も出戻り社員は増えて行く傾向にあるでしょう。
制度化はしないで、再雇用の申し出があった場合に、その都度個別に対応する方法をとったほうがうまくいくという会社もあります。
制度を導入する際は、十分なルールや規定を設けた上で公平な制度となるようにしなければなりません。