厚生労働省は昨年、大学生を対象にアルバイトの調査を行いましたが、今年は高校生を対象に「アルバイトに関する意識調査」を実施し、平成28年5月に調査結果を公表しました。
高校生アルバイトを巡る労働条件や学業への影響などを把握し、適切な対策を講じることを目的とした調査です。
<調査対象>
厚生労働省の労働法セミナーに参加した高校生を対象に平成27年12月から平成28年2月にかけて実施し、1,854人が回答。下記が調査結果のポイントです。
法律違反の疑いも多数
・60%の高校生が、労働条件通知書等を交付されていません。
労働条件について、口頭でも具体的な説明を受けた記憶がない学生が18%。
・32%の高校生が、労働条件等で何らかのトラブルがあったと回答。
トラブルの中では、シフトに関するものが最も多く、
中には賃金の不払い・満18歳未満に禁止されている深夜業や休日労働をさせられたなどの法律違反も見受けられました。
また、その他回答があった主なトラブルの内容は以下の通りです。
<労働基準関係法令違反のおそれがあるもの>
・1日に労働時間が6時間を超えても休憩時間がなかった 4.8%
・働いた時間分の全てがアルバイト代として計算されていない 3.8%
・準備や片付けの時間に賃金が支払われなかった 3.8%
・1日8時間、1週 40 時間を超える労働について、割増賃金が支払われなかった 3.4%
・ 本来禁止されている深夜労働・休日労働をさせられた 2.2%
・商品やサービスの買取を強要された 1.1%
<その他労使間のトラブルと考えられるもの>
・ 採用時に合意した以上のシフトを入れられた 11.2%
・ 採用時に合意した仕事以外の仕事をさせられた 8.8%
・ 一方的に勤務シフトの変更を命じられた 7.0%
・ 一方的にシフトを削られた 5.8%
・ 給与明細書がもらえなかった 5.0%
ブラックと呼ばれないために
「ブラックバイト」の被害という点では、大学生だけでなく高校生にもその被害が及ぶ危険性があるといえるでしょう。
今回の調査結果を受け、厚生労働省は今後、ブラックバイトの抑制と学生へのセミナーを強化していき、是正に向けて積極的に取り組んでいく方針ということです。
高校生や大学生を雇用する企業は、彼らとのやりとりや労働条件について十分に配慮していきたいものです。