高すぎる自己評価は高ストレスにつながりかねません
- 2016/5/26
- メンタルヘルス
「人は自分の評価を甘くしがち」
そのように言われたら、あなたはどう思うでしょうか。
「いやそんなことはない!」
「どちらかというと、自分に自信が持てず過小評価になりがちだ…」
と思う方もいると思います。
自己評価と他者評価の差は「20%」
特に日本人の場合は、謙遜を美徳とする文化のため、自己評価は諸外国に比べて低くなりがちですが、それでも一般的に人は、周囲の評価に比べて自己評価が高くなる傾向にあるというのは一つの事実です。
そして、自己と客観の評価の差は、20%程度とも言われています。
自己評価が高くなる傾向にあることを示す研究としては、下記のようなものがあります。
・ アメリカの高校生を対象にリーダーシップ能力について調査した結果、約70%が「自分は平均以上のリーダーシップ能力を持っている」と回答し、平均以下だと回答したのは、2%しかいなかった。
・ 大学教授の94%が、自分は教師として平均以上の仕事をしていると答えた。
自己評価はなぜ高くなるのか?
自己評価が高いというのはつまり、他者評価との乖離があるということです。
では、自己評価と他者評価との間に差が生じるのはなぜでしょうか。
① 視点の違い
人は、自分を評価する時、自分にとって都合の良い出来事を思い出しますが、他者を評価する時は、そういった記憶は思い起こされにくいとされています。
また、自己評価には、将来の可能性を高く見積もったものも含まれるのに対し、他者を評価する際はそうはならないという傾向も関係しているでしょう。
② 他者とのコミュニケーション不足
自己であれ他者であれ、評価する際はなんらかの基準で評価します。
自己評価をする際の基準は、自分の今までの経験や、周囲にどのような人がいるかといったことに影響され、他者の評価基準とのすり合わせや共有ができていないほど独りよがりな自己評価となり、
他者からの評価との乖離が大きくなるとも考えられます。
実際に親しい間柄であれば、自己と他者の評価は一致しやすいという研究報告もあります。
自己評価が高くて何が悪い?
自己評価の難しいところは、その高い低いで良し悪しを判断できないところです。
つまり、客観的で精緻な「正しい自己評価」をすることが、必ずしも自分にとって一番良いとは限りません。
自己を高く評価していれば、自己肯定感にも繋がり、行動力や活力があがることもあります。
事実、健康な精神状態にある人は、自分を高く評価する傾向が高いことも研究からわかっています。
ただ、会社で働いている場合、周囲からの評価よりも自己評価が高ければ、それが会社や上司への不満になることも往々にしてあります。
「こんなに頑張っているのに評価されない」
「会社の評価に納得いかない!」
「こんな人事おかしい」
そのような思いが不満となって溜まっていった結果、つらい思いをするのは自分自身です。
また、「実態以上に自己評価が高い人」と周囲から思われてしまうようなことになれば、良好な人間関係を築くのは難しくなり、そこでもストレスを抱えることになるでしょう。
つまり、自己評価と他者評価の乖離分、ストレスになってしまうことがあるのです。
自分を知るために他者の視点を借りる
人は自分のことを正しく理解したいと思いながら、自分のことは自分が一番わかっていると思いがちです。
自分の姿を見る時に鏡を使うように、自分を知るためには、必ず他者の視点が必要です。
自己評価は一般的に高くなりがちであることを知っておくだけで、異なる評価や意見にまずは耳を傾ける、ということができるようになるでしょう。
そうして耳を傾けることで、自分を振り返り、周りとの評価基準をすり合わせることで、自分にとって良い影響をもたらすことになるでしょう。
自己と他者の評価を一致させなければならないというものではありませんが、乖離を少なくするアプローチは、人間関係や自己の成長に良い影響をもたらすことが期待できます。
職場において社員の自己評価と会社からの評価に乖離があった場合も、両者のすり合わせを必ず行いましょう。
会社からの評価は一方通行になりがちです。
効果的なフィードバックの場を設けることが重要ではないでしょうか。