
毎年10月1日は「コーヒーの日」です。
コーヒーの収穫サイクルの中で新年度にあたり、また、コーヒーの需要が高まることにちなみ、一般社団法人全日本コーヒー協会が定めた記念日です。
「眠気覚ましに効果的だけれど、飲みすぎはよくないらしい」と、なんとなくのイメージだけでコーヒーを飲んでいる方も多いのではないでしょうか。
今回はコーヒーの健康効果と、飲む際の注意点・適量について解説します。
コーヒーを飲むことで期待できる健康効果
カフェインによる覚醒作用・集中力アップはよく知られていますが、コーヒーには他にも様々な成分が含まれており、それらが疾患予防や死亡リスク低減に関わっている可能性が報告されています。
糖尿病の発症リスク低減
コーヒーに含まれるポリフェノールの一種「クロロゲン酸」には、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きを高める可能性が示唆されており、コーヒーを習慣的に飲む人ほど2型糖尿病を発症しにくいという報告があります(※1)。
脂肪肝リスクの低減
脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪などの脂肪が蓄積している状態を指します。
働いている男性を対象にした国内の研究では、コーヒーをよく飲む人ほど脂肪肝が少なく、5年間の追跡調査でもコーヒーの摂取量が減った人ほど脂肪肝を発症しやすい傾向が確認されました。
クロロゲン酸による血行・脂質代謝機能の改善が関与していると考えられています(※2)。
痛風リスクの低減
痛風は血液中の尿酸値が高い状態が続くことで発症する疾患で、食生活の欧米化などを背景に患者数は増加傾向にあります。
防衛医科大学校と大阪大学などの研究グループが日本人約17万人のデータを解析した結果、コーヒーを飲む習慣は血液中の尿酸値の変動とは関係なく、痛風の発症リスクを下げることが明らかになりました(※3)。
痛風は一般に尿酸値を下げることで予防するものですが、コーヒーはそれとは別の仕組みで発症を抑えている可能性があるという、興味深い知見です。
死亡リスクの低減
国立がん研究センターが日本人約9万人を追跡した研究では、コーヒーをほとんど飲まない人に比べ、1日1〜2杯飲む人は15%、3〜4杯飲む人は24%、総死亡リスクが低いという結果が示されました。
死因別でも、心疾患・脳血管疾患・呼吸器疾患による死亡リスクの低下が確認されています(※4)。
リスク低減には、クロロゲン酸の血圧調整作用や抗炎症作用、カフェインの気管支拡張作用が影響していると考えられています。
そのほかにも、ストレスの軽減効果や認知症予防などさまざまな効果が期待できることが示唆されてきています。
コーヒーには、まだまだ多くの可能性が秘められているのです。
集中力を引き出す、コーヒーの”飲みどき”とは
カフェインによる覚醒作用・集中力アップの効果は、摂取後30分〜1時間ほどで現れ始めます。
ですので、眠気を感じてから飲むのではなく、眠くなる少し前に飲んでおくのがコツです。
飲んだ直後に15〜20分ほど仮眠を取る「コーヒーナップ」は、目覚める頃にカフェインが効き始め、すっきりと午後の業務に戻れる方法として知られています。
朝起きてすぐにコーヒーを飲む方も多いと思いますが、起床後すぐは脳や細胞を覚醒させるホルモンの「コルチゾール」が既に多く分泌されているため、カフェインの覚醒効果を実感しにくいといわれています。
空腹の状態で飲むと胃への刺激が強くなるため、午前中に飲む場合は朝食後がおすすめです。
また、就寝前のコーヒーの摂取は睡眠の質を下げてしまうため、寝る4~5時間前までに飲み終えるようにしましょう。
飲む際の注意点と適量の目安
カフェインを取りすぎると、動悸や不眠、下痢や吐き気、めまいなどにつながることがあります。
目安は、健康な成人で1日カフェイン400mg程度、コーヒーに換算するとカップ3〜4杯程度です(※5)。
妊娠中・授乳中の方や睡眠に不安がある方、持病のある方はより少なめにし、必要に応じてかかりつけ医に相談しましょう。
砂糖やシロップの入れすぎも、カロリー・糖質の摂取量を増やしかえって健康にとって逆効果になりかねません。
コーヒーは、量とタイミングを意識することで、集中力アップやさまざまな健康効果が期待できる飲み物です。
ただし、コーヒーに限らず、これさえ摂れば健康になれるといった魔法のような食べ物はありません。
あくまでもバランスの良い食事や運動習慣をベースに、コーヒーを上手に取り入れていただければと思います。
<参考>
※1 Ihara Y、Asahara S、Inoue H、Seike M、Ando M、Kabutoya H、Kimura-Koyanagi M、Kido Y「Chlorogenic Acid and Caffeine in Coffee Restore Insulin Signaling in Pancreatic Beta Cells」(『Kobe Journal of Medical Sciences』2023年69巻1号1~8頁)
※2 船津和夫、山下毅、斗米馨、影山洋子、和田哲夫、近藤修二、横山雅子、高橋直人、水野杏一「長期縦断的調査からみたコーヒーの脂肪肝発生と臨床検査値への影響」(『人間ドック』2019年34巻4号572~580頁)
※3 Shirai Y、Nakayama A、Kawamura Y、Toyoda Y、Nakatochi M、Shimizu S、Shinomiya N、Okada Y、Matsuo H、Japan Gout Genomics Consortium(Japan Gout)「Coffee Consumption Reduces Gout Risk Independently of Serum Uric Acid Levels: Mendelian Randomization Analyses Across Ancestry Populations」(『ACR Open Rheumatology』2022年4巻6号534~539頁)
※4 Saito E、Inoue M、Sawada N、Shimazu T、Yamaji T、Iwasaki M、Sasazuki S、Noda M、Iso H、Tsugane S「Association of coffee intake with total and cause-specific mortality in a Japanese population: the Japan Public Health Center-based Prospective Study」(『The American Journal of Clinical Nutrition』2015年101巻5号1029~1037頁)
※5 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」





















