11月は「過労死等防止啓発月間」です|令和7年度「過労死等の労災補償状況」からみる現状

労働環境

毎年11月は「過労死等防止啓発月間」です。
これにあわせ、厚生労働省は毎年「過労死等防止対策推進シンポジウム」や「過重労働解消キャンペーン」などの取り組みを実施します。
本記事では、上記取り組みのご紹介と、「令和7年度 過労死等の労災補償状況」から過労死等の状況を確認していきます。

ちなみに、過労死は英語でも「Karoshi」と表記されますが、日本だけで発生している現象なわけではありません。
長時間労働や仕事のストレスによる心疾患や過労自殺は、欧米など世界でも発生していますが、直訳する特定の言葉や概念がなかったため、日本で定着していた「Karoshi」という言葉が使われるようになったとされています。
それだけ日本特有の問題として世界的にも有名ということですね。

脳・心臓疾患に関する労災請求件数が多いのは「運輸業・郵便業」

まずは、2026年7月に公開された「令和7年度過 労死等の労災補償状況」から、現状を確認しましょう。
「過労死」と一言でいっても、そこに至る原因で大きく以下の2つに分けることができます。

① 過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患などによるもの
② 仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害などによるもの

まずは、①ついて見ていきます。

出所:厚生労働省「令和7年度 過労死等の労災補償状況」

上記は、業務災害に係る脳・心臓疾患の労災補償状況です。
令和7年度(2025年度)の請求件数は1,254件で前年から224件増加、死亡件数も303件と前年から48件も増加しています。
そもそも、記載のある令和3年度(2021年度)から令和7年度(2025年度)まで、増加し続けている状況です。
つぎに、業種別・職種別の請求件数も見ていくと、上位3業種・職種は以下のようになります。

業種別職種別
業種(大分類)業種(中分類)請求件数職種(大分類)職種(中分類)請求件数
1運輸業、郵便業道路貨物運送業179 (3)輸送・機械運転従事者自動車運転従事者215 (2)
2サービス業(他に分類されないもの)その他の事業サービス業118 (10)建設・採掘従事者建設従事者(建設躯体工事従事者を除く)78 (1)
3医療、福祉社会保険・社会福祉・介護事業73 (38)事務従事者一般事務従事者70 (29)

※( )内は女性の件数で、内数
参考:厚生労働省「令和7年度 過労死等の労災補償状況」

業種でみると「道路貨物運送業」、職種でみると「自動車運転従事者」が圧倒的に多い現状がわかります。
いわゆる長距離トラックなどのドライバーが、過労による脳・心臓疾患を多く発症しているということです。
皆さまも、この結果に関しては納得なのではないでしょうか。
これらの業種・職種は、拘束時間が長く、不規則なシフト勤務が発生するという背景から、「ブラック」として昔から認識されてきたところでしょう。
「働き方改革」が謳われ始めてから、さまざまな施策が行われてきましたが、なかなか労災の件数を減らせずにいるようです。
また、厚労省からは2026年8月に「労働基準監督署等が自動車運転者を使用する事業場に対して行った令和7年の監督指導、送検等の状況」も発表されています。
産業保健新聞内でこちらも解説していますので、合わせてご覧ください。

精神障害に関する労災請求件数が多いのは「医療・福祉」

続けて、②についても見ていきます。

出所:厚生労働省「令和7年度 過労死等の労災補償状況」

上記は、業務災害に係る精神障害の労災補償状況です。
令和7年度(2025年度)の請求件数は4,958件で前年から1,178件増加、自殺(未遂を含む)件数も215件と前年から13件増加しています。
こちらも2021年度から2025年度まで増え続けており、特に2025年度は1,000件を超える非常に大きな増加幅になっています。
適応障害やうつ病などの精神疾患についての知識が世間一般に広まってきた経緯もあるとは思いますが、このままだと2026年度の件数は一気に6,000件に至るのではないかと懸念されます。

業種別・職種別の請求件数を見ると、こちらの上位3業種・職種は以下のようになります。

業種別職種別
業種(大分類)業種(中分類)請求件数職種(大分類)職種(中分類)請求件数
1医療・福祉社会保険・社会福祉・介護事業706
(521)
事務従事者一般事務従事者833
(563)
2医療・福祉医療業578
(462)
専門的・技術的職業従事者保健師、助産師、看護師369
(333)
3運輸業・郵便業道路貨物運送業202 (59)サービス職業従事者介護サービス職業従事者296
(217)

※( )内は女性の件数で、内数
参考:厚生労働省「令和7年度 過労死等の労災補償状況」

医療・介護系の業種、職種がランクインしていますね。
要因として人手不足や夜勤など不規則な生活、オンコールによる緊張で気が休まらないなどが考えられます。
また職種別の1位「一般事務従事者」に関しては、パワハラやカスハラなどのハラスメントが要因として挙げられるでしょう。カスハラに関しては、2026年10月1日、改正労働施策総合推進法の施行により、事業主にカスハラを防止するための措置を講じることが義務づけられました。
この法改正によって、少しでも精神疾患による労災請求件数が減ることを願うばかりです。カスハラ対策に関しては以下の記事もご覧ください。

「過労死等防止啓発月間」に行われる取り組み

現状を確認したところで、「過労死等防止啓発月間」に行われる取り組みをご紹介します。

「過労死等防止対策推進シンポジウム」の実施

47都道府県48会場(東京は2会場)でシンポジウムが開催されます。
内容は、専門家による講演や過労死遺族の方の体験談、取り組み事例紹介などです。
各会場で講演内容などは違うので、近場のシンポジウムだけでなく、気になる内容のシンポジウムに参加してみるもの良いかと思います。参加は無料ですが、事前申し込みが必要なので以下サイトからご確認ください。

過重労働解消キャンペーン

過重労働(長時間労働)は過労死に直結しかねない大きな要因です。
その過重労働などへの対応として、長時間労働の是正や賃金不払残業などの解消に向けた重点的な監督指導や、全国一斉の無料電話相談などを行います。下記特設ページから、キャンペーンの取り組みを周知するポスターやパンフレットもダウンロードできます。
まずはポスターを社内に掲示するところからでも始めてみませんか?

「過労死」まではいかなくても、「精神疾患を発症して休職してしまった」というケースであれば身近に感じる人も少なくないでしょう。
「過労死等防止啓発月間」であるこの機会に、皆さまの会社でも「過労死」につながる労働環境、職場環境になっていないかを再確認しましょう。

<参考>
・ 厚生労働省「令和7年度『過労死等の労災補償状況」を公表します」
・ 厚生労働省「11月は『過労死等防止啓発月間』です」

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幸福度や労働生産性が高いと評される北欧(ノルウェー)へ留学した際、仕事に対する日本と北欧の良いところ悪いところをひしひしと感じてきました。この良いところをお伝えすべく、北欧の労働環境などに関しての情報はもちろん、身近な話題や疑問を分かりやすくお仕えできるよう日々勉強中です! 【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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