「何のために働くのか?」
この問いへの回答は、生活のため、お金のため、人生を充実させるため、夢を叶えるため…などなど、人それぞれだと思います。
また、多くの企業では、社員のパフォーマンスを上げ、やる気を引き出すために、色々と策を練っているのではないでしょうか。
しかし企業の方針は個人に合わせることはなかなか難しいもの。
どうしてもズレが生じてしまいます。
とはいえ仕事を頑張るにあたって、ご褒美があるとモチベーションが上がりそうですよね。
実際に臨時ボーナスといった形で、成果に見合った評価・報酬が与えられる会社も増えつつあります。
この「ご褒美があるから仕事を頑張ろう」といった因果関係を「外発的動機づけ」といいます。
外的報酬(評価や報酬、あるいは称賛や罰則など)によってやる気が出る、行動するというものです。
皆さんも「外発的動機づけ」を経験されたことは多いと思います。
しかし、この外発的動機づけには、おそろしい副作用が伴っていることを知っていますか?
アンダーマイニング効果とは
前述のとおり、「外発的動機づけ」とは、強制や懲罰、評価、報酬などが要因となって動機づけられるものです。
これと対極にあるのが「内発的動機づけ」。
「内発的動機づけ」では、内面に湧き起こった興味・関心や意欲が要因となって動機づけられます。
外的報酬に基づかない、能動的なものであるため、自己効力感(自己決定感)・有能感を感じます。
さてここで、外発的動機づけのおそろしい副作用をご紹介します。
それは「内発的に動機づけられた行為に対し、報酬を与えるなどの外発的動機づけを行うことによって、モチベーションを低減させてしまう現象」が存在しているということです。
この現象を「アンダーマイニング効果」といいます。
たとえば、自分で意欲的に取り組んでいた業務(内発的動機づけ)があるとします。
ここに、業務の出来具合に応じて臨時ボーナスが支払われる(外発的動機付け)が加わると…。
本来は、自分の関心・意欲が行動の目的にあったはずなのに、いつ間にか「臨時ボーナスがもらえるから」に目的がすり替わってしまうのです。
つまり、それまでは外的報酬がなくてもやっていたことに興味や関心がなくなり、やる気が低減してくという心理作用を引き起こします。
なぜやる気がなくなるのか
外発的動機づけを行う大きなデメリットが、自己効力感(自己決定感)・有能感を低下させてしまうことです。
心理学者のリチャード・ド・シャームは、外発的動機づけは「他者から統制されている」と知覚すると述べています。
いわゆる「やらされている感」が出てしまうため、次第に「したいからする」というやる気が失われていくのです。
社員のやる気を引き出すには
やる気を引き出すきっかけとして、外発的動機づけ(外的報酬)を利用することはいいのですが、やりすぎては逆効果です。
あまり細かく行動を指示したり、目標達成のための計画作りを強要したりすると、本来の手段であるはずのものが目的となり、やる気を奪ってしまいます。
これを機に、自己決定感・有能感を持って仕事に取り組めるような環境作りを目指してみませんか?