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- 自分の主張をしっかり伝えるコツ~アサーショントレーニング~

新学期や入学、入社などで新たな環境に飛び込み新しい人とコミュニケーションすることは、楽しくもあり、難しいことも多いと思います。
また、新生活に限らず、「自分の言いたいことが半分も言えなかった」「自分の主張をしたら相手を傷つけてしまうのではないか」と感じている人もいるのではないでしょうか?
今回は自分も相手も心地よいコミュニケーションの方法をお伝えできればと思います。
アサーションとは?
アサーションとは、【assertion(自己主張)】が語源となる言葉で、相手を尊重しながら自分の意見や気持ちを伝えるコミュニケーションスキルを指します。
アサーションで重視しているのは、自分や相手のどちらかに重きを置くのではなく、相手の気持ちを尊重しながら自分の意見を主張することです。
アサーションを身につける方法としてアサーショントレーニングがあり、集団で研修を受ける方法や、自身で行えるセルフアサーショントレーニングなどもあります。
今回は、取り組みやすいアサーションの方法をいくつかお伝えします。
アサーションをやってみよう
DESK法
DESC法は以下の頭文字をとったものです。
Describe(描写する)
Explain/Express(表現する)
Suggest/Specify(提案する)
Choose(選択する)
Describe(描写する)では、主観ではなく客観的な事実を伝えます。
Explain/Express(表現する)では、自分の意見や感情を表現します。
Suggest/Specify(提案する)では、相手にどのようにしてほしいのか提案します。
Choose(選択する)では、提案に対して相手が賛成か反対の場合の結果を想像し、その返答の選択肢を示します。
具体的な場面で考えてみましょう。
あなたは上司から大きな仕事を任されました。しかし、今抱えている案件もあり、断りたいなと思っています。せっかく任せてもらえたので、嬉しい気持ちはありますが、これ以上案件を抱えることを不安に思っている状況です。
・Describe(描写する)
「今抱えている件数が〇件あり、毎日残業しています」
Describe(描写する)では、具体的な数値を示すことでより客観的な状況が描写できます。
・Explain/Express(表現する)
「私を信頼して任せていただけるのはとても嬉しいです。しかし、これ以上案件を抱えることで他の業務に支障を与えないかを心配しております」
Explain/Express(表現する)では、マイナスな感情を伝えるにしても、まずはプラスな感情を伝えることで相手に感謝の気持ちを伝えることができます。
・Suggest/Specify(提案する)
「そのため今回の案件はお断りさせていただければと思います」
・Choose(選択する)
<提案がYESの場合>
「ありがとうございます!またお声がけいただけるように、今の案件を精一杯取り組んでいきます」
<提案がNOの場合>
「承知しました。しかし、1人で取り組むことは難しいので、誰かと共同で進めたいです」
「では、今抱えている途中の案件を誰かに引き継いで取り組みたいです」
「案件の期限を延ばしていただきたいです」
NOの場合はいくつか選択肢を用意しておくことで、さまざまな場面に対応できます。
アイ・メッセージ
次に、自分を主語として伝える方法です。
アイ・メッセージ(I message)と呼ばれることもあります。
自分を主語として伝える方法の反対として、相手を主語とするユー・メッセージ(You message)があります。
時と場所、場合によってこれらを使い分ける必要がありますが、アイ・メッセージを使うことで、相手を尊重しながら自分の主張を伝えられる場合があります。
具体的な場面で考えてみましょう。
部下がミスをしてしまいました。もっと早く現状などを報告し、相談していたら防げた可能性が高いミスでした。あなたは上司として、「もっと早く現状報告や相談をしてほしい」と伝えたい状況です。
・ユー・メッセージ(相手を主語とした伝え方)
「(あなたが)もっと早い段階で進捗を報告してくれたら防げたかもしれないミスです。(あなたが)分からないことがある時点で相談してください」
・アイ・メッセージ(私を主語とした伝え方)
「(私は)あなたの進捗状況が分からなくて困ることがあります。(私は)あなたの困りごとや不安を一緒に解決したいと思うので、何か不安なことがあれば相談してくれると、(私が)嬉しいです」
アサーションを身につけるメリットは?
相手の気持ちを考えながら自分の主張を伝えられるアサーションは、相手の立場を尊重した円滑なコミュニケーションにつながります。
また、ハラスメントの防止効果が見込まれます。
アイ・メッセージでは、相手を主語としない点から、非難せずに自分の主張や気持ちを伝えることができます。
それによって、相手も責められたと感じることが少なく、良い関係を構築することができるでしょう