平成30年「国民健康・栄養調査」の結果 ~所得によってみられた生活習慣等の違いとは?~

平成30年「国民健康・栄養調査」の結果~所得によってみられた生活習慣等の違いとは?~

厚生労働省が2020年1月14日に、2018(平成30)年11月に実施した「国民健康・栄養調査」の結果を公表しました。
この調査は、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料として、国民の身体の状況、栄養摂取量及び生活習慣の状況を明らかにするために毎年実施されています。
今回の調査では、毎年実施している基本項目に加え、「所得等社会経済状況と生活習慣等に関する状況」が重点項目として加わりました。
調査の結果、所得による喫煙率や健診未受診率、歯の本数、食事の栄養バランスなど生活習慣や健康状態、食生活への格差が生じている実態が明らかとなりました。
また、就業時間による健診未受診率や肥満の割合など生活習慣や健康状態の違いが見られたことも報告されました。
一つひとつ確認していきましょう。

所得との関係

◎ 所得が少ないほど喫煙率が高い

男女ともに所得が少ないほど、習慣的に喫煙している人の割合高いことが明らかとなりました。
また、喫煙率の割合については、男性29.0%、女性8.1%(全体17.8%)であり、この10年間で男女ともに減少しています。
習慣的に喫煙している人うち、「たばこをやめたい」と思う人の割合は32.4%(男性 30.6%、女性 38.0%)でした。

◎ 所得が少ないほど健診未受診率が高い

男女ともに所得が少ないほど、健診を受診していない人の割合が高いことが明らかとなりました。
また、健診未受診率の割合は、1週間の就業時間が40時間以上の人と比べて、1~39時間の人の方が男女ともに高い傾向にありました。

◎ 所得が少ないと歯の本数が少ない

男女ともに所得が少ないと、歯の本数20本未満と回答した人の割合が高いことが明らかとなりました。(女性400万~600万未満は除く)

◎ 所得が少ないと栄養バランスのとれている人が少ない

男女ともに所得が少ないほど、「ほとんど毎日、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上」食べている人の割合が低い傾向にありました。
また、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度が週5日以下の人のうち、その3つを組み合わせるとバランスの良い食事になることを知っている人の割合は、男性 88.7%、女性 95.5%でした。
知っている人のうち、主食・主菜・副菜の3つを組み合わせて食べることが出来ない理由として、男女ともに「手間がかかる(男性42.3%、女性52.4%)」「時間がない(男性36.5%、女性42.3%)」という理由を上げた人が多い結果となりました。

「加熱式たばこ」等の喫煙状況

習慣的に喫煙している人のうち、「紙巻きたばこ」を使用している人の割合が男性 77.0%、女性 84.9%、「加熱式たばこ」を使用している人の割合が男性 30.6%、女性 23.6%でした。
また、「加熱式たばこ」を使用している人の割合が男女ともに30-39歳で1番高く、それ以降、年齢が上がるにつれて少なくなっていく傾向にありました。

就業時間が長いほど肥満の方の割合が高い

肥満者の割合は、1週間の就業時間が60時間未満の人と比べて、60時間以上の人の方が男女ともに高い傾向にありました。
また、肥満と関連性のある「運動」や「睡眠」における1週間の平均的な就業時間をみてみると「運動習慣のない人の割合」「睡眠による休養を十分にとれていない人の割合」が1週間の就業時間49時間未満の人とくらべて、49時間以上の人の方が男女ともに高い結果となりました。

<参考>
・ 平成30年「国民健康・栄養調査」の結果(厚生労働省

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片桐芽衣株式会社ドクタートラスト 管理栄養士

投稿者プロフィール

クリニックや薬局で管理栄養士として、生活習慣病の患者様を中心に栄養指導を行ってまいりました。病気になる前のもっと早い段階でたくさんの方々の健康をサポートしたいと思い、ドクタートラストへ入社しました。現在は主に栄養や睡眠をはじめとした生活習慣に関する面談(特定保健指導等)やセミナー、コラム執筆を行っています。
日頃から健康的な生活習慣を身に着けることが今の自分、そして将来の自分を作っていきます。生涯にわたって元気に働けるヒントとなる情報を発信できるよう努めます。
【保有資格】管理栄養士、人間ドック健診情報管理指導士、上級心理カウンセラー、上級睡眠健康指導士、第一種衛生管理者
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