高齢化の進行する日本。
定年退職年齢の60歳から65歳への引き上げを呼びかけてはいるものの、なかなか実行できない状況です。
社会的には高齢化にも関わらず、労働人口は減少し、政府が打ち出している「働き方改革」への取り組みが難しい企業も多いのではないでしょうか。
60歳以上の働く人
定年が引き上げられているにもかかわらず、給与の面についてはほとんどの企業が55歳を境に徐々に減っていく傾向にあることが厚生労働省の調査によりわかっています。
参考:平成29年賃金構造基本統計調査による給料の推移(厚生労働省)
これの調査によると55~59歳では賃金階級が50~59.9万円が12%と最も多いのに対し、60~64歳では20~21.9万円、65~69歳では16~17.9万円が最も多くなり、年齢を重ねるごとに給与が下がっている状態がわかると思います。
さらに60歳以上になると、これまでの役職を外され、給与が半分近くになってしまうこともあるそうです。
また、年金を貰いながら働くと月々の給料とボーナス(その月以前1年間の標準賞与額の総額を12で割った金額の合計)と年金月額(年間の年金支給額を12で割った金額)の合計が28万円越えると、その金額の一部が減額、場合によっては全額がカットされてしまいます。
そのため、60歳以上の方は、60歳となったタイミングで会社勤めを終え、年金だけをもらいながら生活をしているという方も多いようです。
徐々に増えてはいるものの、60歳以上の働く人はまだまだ少ないといえます。
働き方改革との関連
上記で挙げたように労働人口の減少で多くの企業で一人ひとりの業務が多くなってしまい、「働き方改革」による残業時間の減少の取り組みが難しい状況となっています。
そこで、60歳以上で働く人が増えれば、業務量の分散ができ、「残業時間減少」に繋がるのではないでしょうか。
若い世代の人と同じように働くのではなく、時短勤務や勤務日数を減らす等多くの取り組み方をするだけでも改善に繋がるのではないかと思います。
また、現在定年といわれている方達にも働きたいと望んでる方も多くいると、株式会社ネオマーケティングの実施した調査では発表されています。
40歳以上の1,000名を対象(内500名が60歳以上)とした調査で「あなたが思う、60 歳からの理想の雇用形態をお答えください」という質問に対して60歳以上の回答は正社員と答えた方が一番多く39.2%、次いで自営業・個人事業主・フリーランスが33.6%、派遣・契約社員19%、雇用形態は問わず働きたい5.2%、パート・アルバイト1%、その他1%となり、雇用形態は問わず働きたくないと答えた方はたったの1%となりました。
こちらの調査では60歳以上の約99%の方が何らかの形で働きたいと考えているという結果で、その理由にはお金を稼ぐため、健康維持のため、人と関わりたいから、仕事をすることが好きだから等さまざまでした。
参考:「2018年シニアの仕事に関する調査」(株式会社ネオマーケティング)
企業も積極的に取り組みを
以上のように「残業時間減少」の取り組み方の1つの案として60歳以上の働き方について挙げました。
企業として
・ 50歳台からのスキルアップを図るような研修実施し年齢に関係なく昇給を可能にする
・ 60歳以上の業務内容・勤務時間・勤務地の選択
等に取り組むことができれば、少しでも「残業時間減少」へ繋がるのではないかと思います。
また、今回は残業時間に着目しましたが、働く年齢を上げていくことで他のさまざまな効果が多くあると思いますので、今後の課題として取り組んでいくことが望ましいと思います。