準備は万全に!労基署調査のチェックポイント

会社が労働者に対して、労働基準法をはじめとする各種労働法を守って経営しているかどうかの調査は、誰が、どのように行っているかご存知でしょうか?
調査を行っているのは、「労働基準監督署(労基署)」です。

労基署が立ち入り調査を行う対象は、労基署自体が無作為に調査対象を抽出する定期監督のほか、最近ではインターネットの普及により従業員やその家族などによる申告を受けての、申告監督の数も増えてきています。
立ち入り調査の事前連絡に関しても、定期監督の場合は調査日程・内容の通知がある場合もありますが、予告なしに調査に訪れることもあります。
そのため、常日頃から労基署調査のチェックポイントを理解し、必要な書類を整備しておくことが非常に重要です。

労基署立ち入り調査!その時どう対応する?

では実際に労基署の立ち入り調査があった際には、どのように対応すればよいのでしょうか。
下記に労基署の監督官がよくチェックするポイントを記載させて頂きます!

☑三六協定が締結・届出されているか?

「時間外・休日労働に関する協定」である三六協定は、毎年1回労基署への届出が必要となります。調査では協定届が整備されているかどうか、現物確認されます。
具体的には、三六協定の他に、変形労働制の労使協定や労働時間のわかる資料(タイムカードなど)が必要となりますので、担当者は最新版の書類の所在を常に把握しておきましょう。

☑サービス残業は発生していないか?

所定労働時間を超えての残業や休日出勤に関して、時間外手当(残業代)を支払っているかを確認されます。
違反があった場合、最大過去2年間遡っての支払い命令が出される場合があります。

☑就業規則は提出されているか?

10名以上の従業員を使用している事業場は、労基署への届出が必要です。
提出状況の調査だけでなく、育児介護休業法や高年齢者雇用安定法への対応等、法改正への対応についても確認されることが増えています。

☑賃金台帳・労働者名簿は正しく整備されているか?

記載内容について細かく規定があるものになりますので、記載漏れ等があれば指摘を受けることになります。

☑健康診断は毎年行っているか?

年に1回の定期健康診断は、受診とその結果の5年間の保存義務があります。調査ではその健康診断結果の提出を求められる事が多いです。
健康診断結果個人票(もしくは個人健診結果の複写)、産業医の意見聴取の記録、定期健康診断結果報告書(従業員50名以上の場合)などの確認を要求されます。

こんな点にも要注意!最近の調査の傾向とは

また上記の他、最近のトレンドとしては、特に下記の点にまで踏み込んだチェックをされます。

◆労働時間管理の方法は適切か?
残業時間の端数が切り捨てられていないかなどが調査されます。

◆過重労働は発生していないか?
三六協定を超える残業時間が恒常的でないか確認されます。

◆管理監督者の範囲は適切に設定されているか?
労働時間の適用を受けない管理監督者を拡大適用した、サービス残業の実態がないかを確認されます。

勿論、産業医が訪問しているかどうか、衛生委員会はきちんと開催しているかなどといった点も調査対象となります。
過重労働者との面談記録(5年間保存義務)、衛生委員会の議事録(3年間保存義務)などの書類も、きちんと整理しておきましょう。

監督官には違反行為の指導・取締りの為に、事業主や労働者に対する報告・出頭命令、事業所などへの立入調査権、さらには違反者を逮捕・送検できる権限が法律によって付与されています。
違反が悪質であったり、是正勧告に従わなかった場合、実際に経営者が逮捕されたり、現場責任者が送検されたりするケースもありますので、適切かつ誠実な対応を心がけるようにしましょう。

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