4月になり、街のなかでは新入社員と思しき若者をあちこちで目にするようになりました。
新入社員の皆さんは今までは学生だった立場から今度は会社(職場)という組織に入り、その一員の社会人といった立場で働かなくてはなりません。
会社(職場)に入ったからには、労働者として就業上守るべき規律や、労働条件に関する具体的事項について定められたものがあります。
それが就業規則です。
会社という組織はさまざまな人の集合体になりますので、その人たちが各々の価値観や考え方に基づいて勝手な行動をしていたら、会社経営は困難となります。
その為にも就業規則は、常時10人以上の労働者が所属している事業場では、使用者に作成が義務づけられています。
就業規則には何が書かれているの?
会社によってルールは変動しますが、一般的には以下の通りです。
1. 事業所での始業、終業時刻、休憩時間、休日休暇日数の取決め
2. 賃金の決定や計算および支払いの方法。賃金の締め切りおよび支払いの時期ならびに昇給について(臨時の賃金などを除きます)
3. 退職、退職手当について。(適用労働者の範囲、退職手当の決定、計算、支払いの方法、支払いの時期)について
4. 就業場の服装や備品について
5. 職業訓練について(取得推奨している資格や資格取得に対するサポート)
7. 表彰、制裁について(長期勤続に関する表彰や皆勤賞等)
その他、事業場の全労働者に適用される事項について
また、このなかでも1~3は、いかなる事業場でも必ず定めておかなければならない絶対的必要記載事項に該当しています。
就業規則を守っていれば大丈夫なの?
就業規則以外にも、守るべき規律や労働条件が示されているものがあります。
そのうちの一つが、労働契約です。
「労働契約なんて会社に入ってから結んだことあったかな……?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、入職される際に労働条件を明示した書類が提示されていたかと思われます。
一般的には「雇入れ通知書」と呼ばれることも多いそうです。その内容が労働契約にあたります。
労働契約書の通知義務
入社後のトラブルや紛争を未然に防ぐため、会社は採用する社員に対して、労働条件を書面で渡す義務があります。
労働基準法15条のいわゆる「労働条件明示義務」といわれるものですが、この書面に必要明示事項が記載されていれば、会社は明示義務を果たしたことになります。
労働契約書もしくは雇い入れ通知書を交付しなかった場合は、法律違反にもなり、刑事罰の対象になることもあります。
就業規則、労働契約のさらに上には、労働協約(労働組合と使用者またはその団体との取決め)、そして法令(民法、労基法等)があります。
私たち労働者はその4つのルール(労働協約がない場合は3つ)によって守られており、さらには果たすべき義務が取り決められています。
詳しくはこちらの記事でも取り上げています。
忘れていませんか?雇い入れ通知書の交付(産業保健新聞)
これから新社会人となる方々へ、自分の身は自分で守らなくてはなりません。
知らなかった、で後悔をしてしまう前に今一度確認をしてみてはいかがでしょうか?