働き方改革
民間ではすでに取り組んでいる企業も少なくありませんでしたが、総務省や東京都などの官公庁もテレワークを推進に取り組みはじめました。
また、これまで人が行っていた業務の人口知能や機械への置き換えも始まっており、仕事のやり方だけでなく、仕事の量や質そのものについても見直す方向へ動いています。
そのような流れもあり、これらテレワークを含めたいわゆる「働き方改革」が何かと話題にあがることが多くなっています。
労働人口が減少していくことが明らかなわけですから、これまで通りの働き方だけでは、企業を運営していくのには限界があります。
労働時間等見直しガイドラインの改正
働き方改革が話題になっているなか、この10月に「労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)」が改正されました。
このガイドラインですが、「長時間労働の抑制」や「年次有給休暇の取得向上」に取り組むことで、会社のイメージアップ、従業員のやる気・健康の増進につなげ、結果として優秀な人材の確保・定着がなされることを目的に平成18年に制定された法令です。
平成18年というと、労働安全衛生法の改正が行われた年でもあります。
この改正で、「週40時間を超える労働が1月当たり45時間を超えた労働者で、産業医が必要であると認めた者には、面接指導を実施すること」が定められました。
今回の改正は、主に3つの改正が行われました。
① 労働者が子どもの学校休業日や地域のイベント等に合わせて年次有給休暇を取得できるよう配慮すること
② 公民権の権利を行使し、または公の職務を執行する労働者のための休暇制度等を設けることについて検討すること
③ 雇入れ後初めて年次有給休暇を付与するまでの継続勤務期間(※法律上は6カ月)を短縮すること
上記はいずれも、年中有給休暇の取得を促進させることを目的としています。
有給休暇の取得率向上だけでは何も変わらないが
有給取得率を上げることが経済に良い効果をもたらすかというと、個人的には疑問符がつくところです。
プレミアムフライデーやキッズウィークで購買意欲が促進され、経済が向上するというのは、役人が考えた机上の空論にすぎないのではないかと考えてしまいますが、皆さんはいかがでしょうか。
仕事の絶対量が変わらない、またはやり方を変えない限り、サービス残業ならぬ、サービス有給休暇を増やすことにつながってしまわないか心配です。
しかし、さまざまな働き方が求められていることも事実です。
働き方の一つのモデルケースとしては、有給休暇取得率が100%となる働き方があってもよいのだと思います。
そのためには、有給休暇を取得出来るための土台(制度)づくりが欠かせません。
これは部署単位で行うものではなく、全社を挙げて横断的に行うのが成功のポイントです。
以下に、有給休暇取得率を向上させた企業の取り組みをご紹介します。
例えば、NECソフトでは、1つのプロジェクト終了後に土曜・日曜と繋げた1日以上の年休を取得することを制度化し、実際に有給休暇取得率が向上しているといいます。
また、リクルートキャリアでは、年に連続4日以上の有給休暇を取得した社員には、アニバーサリー手当として6万円が支給されるなど、有給休暇を取ることに意欲的になるような制度作りをしています。
有名な北海道の六花亭製菓では、徹底した設備投資や業務効率化を進め、技術の優れた社員を表彰することで、社員一人ひとりの技術力を高めることに注力しています。
更に社員6名以上が集まれば社員旅行に補助金を出すなどの取り組みから、20年以上連続して全社員が有給休暇を100%取得しているそうです。
今回のガイドラインの改正も含めて、働き方改革が進むように努めることが、今、事業者に求められています。