車の運転免許をお持ちの方は、免許を取得するときに一次救命処置の講習を受けたことがあると思います。
また、衛生管理者試験にもよく出題される項目ですので、重要性が高いことがうかがえます。
東京消防庁の報告によると、けが人や傷病者が発生したとき、その場に居合わせた人による救命処置があるかないかでは、傷病者の生存率に3倍もの開きがあるようです。
つまり、傷病者にとって、私たち一般市民の役割は大変重要だということです。
いつ何時、自分自身がそういった場面に遭遇するかわかりません。
そこで今回は、その「もしも」のときのために、一次救命処置と、AEDについて触れてみたいと思います。
一次救命処置について
下記のページに詳しい一次襲名処置についての手順が記載されています。
ここで私が大変興味深いと感じたのは、「人工呼吸は、実施に躊躇する場合は省略してもよい」という点です。
私が車の運転免許を取得した頃の講習では、人工呼吸+胸骨圧迫が当たり前の手順でしたので、「え、しなくてもいいの?」という印象でしたが、ここ数年は内容が変わってきているようです。
その理由としては、以下が挙げられます。
・人工呼吸を的確に実施するには、相応の訓練が必要であるため
・人工呼吸に対する抵抗感を減らし、一般市民による救命処置への参加率を上げるため
・心停止によって倒れたのであれば血中に酸素が残っているので、胸骨圧迫によって救助できる可能性が高まるため
もちろん、人工呼吸が救命処置において重要なことは言うまでもありませんが、兎にも角にも救急隊員が到着し手当を引き継ぐまでは、胸骨圧迫を続け、血液の循環を維持することが重要です。
AEDの設置場所
AEDは心臓の状態を見て、電気ショックが必要かどうか自動的に判断してくれる医療機器です。
現在では街のあちこちで見かけることができますが、そもそも、AEDは一体どのような場所に設置されることになっているのでしょうか。
駅や空港、市役所などの公共施設では、ほとんどの場所で見つけることができますが、何か設置基準はあるのでしょうか?
ご存知の方も多いかと思いますが、下記に列挙してみたいと思います。
・駅や空港
・役所
・学校
・長距離移動機関(飛行機や新幹線)
・スポーツ関連施設
・デパート、スーパー等の大規模な商業施設
ご覧のとおり、年齢も性別もさまざまな不特定多数の人が出入りするような公共施設を中心に設置が推奨されています。
さらに、闇雲にどんな場所にでも設置すればいいというわけではなく、有事の際にAEDの効果が最大限に発揮できるよう、多くの人の目にとまるような場所に設置することが望ましいとされています。
オフィスビルでは、エントランスやエレベーターホール、エスカレーターを降りたところに設置されていることが多いので、ご自身のオフィスではどこに設置されているか、チェックしてみましょう。
厚生労働省からは、AEDの適正配置に関するガイドラインが発表されていますので、設置を検討されている方は参考にしてください。
全国の消防署では講習会も
予期せぬ事故などでそばにいた人がケガをしたり、救命処置が必要な状況に陥ってしまったとき、医療従事者でない限り、ほとんどの人は慌ててしまうと思います。
「助けたい」「なんとかしたい」という思いがあっても、その術を知らなければ、いざというときに行動に移すことは難しいことです。
救急・応急処置に関する講習会は、全国各地の消防署で実施されています。
AEDの取扱いに関する講習会もありますので、特に事業所の衛生管理者を目指している方は、こういった講習会に参加して、基本的な知識とAEDの使い方を身につけてみてはいかがでしょうか。