「業務命令違反だ!」
こう言われたことはありますか?
会社で働いているのであれば、会社から、具体的には部長や課長等の上司や先輩から、さまざまな指示・命令を受けます。
自分の仕事が忙しかったり、納得できなかったりして、拒否してしまったりすると「業務命令違反だ!」と言われてしまうこともあるかもしれません。
しかし、その行動とは本当に業務命令違反なのでしょうか?
業務命令とは
まず、業務命令とは何かという点を明らかにしましょう。
業務命令とは「業務遂行のため使用者が従業員に命じること」を指します。
なぜ、使用者が業務命令権を持つのかというと、労働者と会社は労働契約を結んでいるためです。
労働契約とは労働者が使用者に対し、労務を提供し、それに対して使用者が労働者に報酬を支払う契約のこと。
労働契約の締結により、労働者は使用者の指揮命令に従って、働くことに合意しているとされるため、使用者には業務命令権が生じます。
そのため、正当な理由がなく業務命令を拒否すると、業務命令違反となってしまいます。
業務命令違反にならないケース
労働者は使用者の業務命令には原則従う必要がありますが、従うことで法令違反となる場合や労働者に多大な不利益を生じさせるものについては、その命令は無効となり、業務命令違反となりません。
たとえば以下のようなケースです。
・ 月45時間を超える残業や翌日からの転勤といった命令
・ 「女なんだから」というような性別等を理由とした、差別的業務命令
・ 労働者に対して指示を行う立場でない先輩からの仕事の依頼 など
業務を断りたいときは?
労働契約を結んでいる以上、正当な理由がなく、業務命令を拒否する場合業務命令違反となってしまう可能性があります。
ただやりたくないからといった理由でなく、今抱えている仕事の納期が厳しかったり、量が多すぎてこれ以上は処理をすることができないといった理由で、新たな業務を断る際には、受けられない理由や業務の優先順位を相談し、正当な理由を持って断るようにしましょう。