虚偽の求人企業に罰則適用の可能性
- 2016/7/6
- 労働環境
「話が違う!」というケースが年間1万件
厚生労働省は、雇用仲介事業等のあり方に関する検討会にて、公共職業安定所(ハローワーク)や民間の職業紹介事業者に労働条件を偽った求人を出した企業と幹部に対し、懲役刑を含む罰則を設けるべきとする報告書をまとめました。
提供:労働新聞社
求人に関するトラブルとしては、ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件との間に相違があったとする申し出件数が、1万937件(平成27年度)に達しており、内容としては、「賃金関連」が最も多くなっています。
その他には、「就業時間関連」や「業務内容」等、企業と求職者側のミスマッチが多く見受けられるようです。
職業安定法第65条という虚偽の条件を利用した求人活動を行った者に対して取り締まる法律があるのにもかかわらず、驚くべきことに過去に一度も適用されていないという実態があります。
そんな求人詐欺に歯止めをかけるべく、厚生労働省は過酷な労働で若者らの使い捨てが疑われる「ブラック企業」と求職者のトラブルを防ぎ、求人詐欺への牽制(けんせい)を狙っています。
報告書を受け、今秋以降の労働政策審議会で議論を本格化させ、職業安定法の改正を目指しています。
求職者と企業のミスマッチを防ぐには?
「時給1000円と記載されていたのに、働いてみたら900円だった」
「勤務地が書いてあるものと違っていた」
「実働8時間と書いてあったのに、実際に働いてみたら朝10時から夜9時前後まで拘束された」等
これらはよく耳にするトラブルです。
求人広告を出す場合は、「仕事内容」「労働契約期間」「勤務地」「勤務時間(休日休暇)」「給与」「待遇(各種社会保険など)」といった項目については正しく明記しましょう。
また、勤務条件とは別に、「必要なスキル」を明記しておらず、せっかく入社した従業員が早期退職・・・といった問題もあります。
専門的なスキルを必要とする企業や、限られた人数で業務を行う会社によくあることですが、どのようなスキルを持っているのか、どのようなマインドを持った人材が欲しいのか。
その旨をしっかりと求人広告に書いていない場合、求められるスキルがわからずに応募することになり、それもミスマッチや早期退職の原因になるでしょう。
高いスキルを求めること自体は悪いことではありません。もちろん限度はありますが、欲しい人材像は他の求人条件同様明記すべきです。
また、しっかりとした教育体制が整っていないのにもかかわらず、安易に「未経験者可、実務経験があるとなお良い」というように応募者に対して間口を広く取ってしまうこともトラブルの原因になり得ます。
さらに、面接時に実際の業務内容や業務スケジュール等についても深く話し合い、求職者も企業側も納得したうえで勤務を開始していただくことが望ましいといえるでしょう。