
厚生労働省は2025年12月19日、「令和7年 高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表しました。
本結果から65歳までの雇用確保措置の実施率は99.9%に達し、全国の企業のほぼすべてで65歳まで働ける仕組みが整っていることが明らかになりました。
一方で、70歳までの就業機会を確保している企業は34.8%と過去最高を記録しました。
日本の雇用構造は、定年を迎えて一度退職する働き方から、定年を超えて働き続ける新しい時代へと移り変わっています。
高年齢者雇用の現状~高年齢者雇用確保措置の実施率は99.9%~
今回の報告は、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」に基づき、常時21人以上の労働者を雇用する企業に提出が義務づけられている「高年齢者雇用状況報告」を集計したものです。
調査対象は全国で 237,739社(大企業(301人以上規模):17,273社、中小企業(21~300人規模):220,466社)になります。
注目すべきは、65歳までの雇用確保措置の実施率が99.9%に達した点です。
前年とほぼ同水準で、もはやこの制度は「企業の常識」となっています。
実施方法の内訳は以下の通りです。

出所:厚生労働省「令和7年『高年齢者雇用状況等報告』集計結果」
継続雇用制度(再雇用制度)導入:65.1%(前年差2.3ポイント減少)
定年の引上げ:31.0%(前年差2.3ポイント増加)
定年制の廃止:3.9%(前年差 変動なし)
データを見る限り、依然として再雇用制度が主流ですが、定年引上げを選ぶ企業が年々増加傾向にあります。
特に中小企業では、高年齢者雇用確保措置の実施率が99.9%と高く、現場で培った経験を活かして働く高齢者が増えています。
こうした動きは、少子高齢化による人手不足を補い、企業の持続的な成長にもつながっていると考えられます。
70歳雇用確保措置が拡大、実施企業は34.8%
努力義務とされている70歳までの高年齢者就業確保措置の実施企業割合は、全体で34.8%(前年+2.9ポイント)となり、過去最高を記録しました。
企業規模別では、大企業で 29.5%(前年差4.0ポイント増加)、中小企業で 35.2%(前年差2.8ポイント増加)となっています。
特に中小企業では、柔軟な人材活用策を通じて取り組みが進んでいます。
また、70歳までの就業確保措置を導入した企業の多くは、定年の引上げだけでなく、より多様な仕組みを取り入れています。
たとえば、他企業・団体への再雇用、フリーランス・業務委託契約の導入、社会貢献事業への参加支援、継続雇用制度の70歳まで延長など、法律で定められた複数の選択肢(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)第10条第2項)を活用する動きが見られます。
特に中小企業では、柔軟な制度を取り入れるケースが増えており、地域や業種に応じた人材活用の工夫が進んでいます。
こうした動きの背景には、「働くことを通じて社会と関わり続けたい」というシニア層の意識の変化もあるようです。
健康寿命の延びとともに、経験を活かしながら働く人が増えつつあり、結果として70歳就業時代への流れを緩やかに後押ししているともいえるでしょう。
「定年=新しい働き方の選択」という価値観へ
報告によれば、65歳以上の定年を設定している企業(定年廃止を含む)は34.9%と前年より2.3ポイント上昇しました。定年を70歳に引き上げる企業も増えてきており、シニア雇用の柔軟化が進んでいます。
厚生労働省は今後も、高年齢者の雇用促進に向けた支援を継続する方針です。
現在は、以下のような制度を通じて、企業の取組みを後押ししています。
・ 高年齢者雇用安定助成金(定年の引上げ・継続雇用制度導入などの実施企業を支援)
・ 65歳超雇用推進助成金」(中小企業が70歳までの雇用確保措置を導入した場合の支援)
日本社会全体としても、「定年=引退」というこれまでの概念が崩れはじめ、「定年=新しい働き方の選択」という価値観へと変化してきていると感じます。
今後は、企業がどこまで柔軟にシニアの多様な働き方を受け入れ、持続可能な雇用環境を整備できるかにあります。
<参考>
厚生労働省「令和7年『高年齢者雇用状況等報告』集計結果」



















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