フレックスタイム廃止企業が増えている理由

フレックスタイム制とは

1カ月の総労働時間を定め、その時間内であれば始業から終業までを個人の判断で決められるという制度です。
通常、会社の就労時間は就業規則によって定められていますが、フレックスタイム制を導入した場合、この時間の制限がなくなります。
「コアタイム」と呼ばれる、絶対に会社にいなくてはならない時間と、定められた時間内ならいつでも出勤&退勤できる「フレキシブルタイム」が設定されている場合もありますが、設定しなくてはならないという規定はありません。

フレックスタイム制のメリット

まず出社時間をずらすことにより、通勤ラッシュの時間帯を避けることができます。
また、退社時間を早くすることにより、1日の残りを自己啓発や趣味、友人や家族との時間にあてることによりリフレッシュして、肉体的にも精神的にも健康な会社員生活を送ることもできます。
さらに、従業員個人に時間配分が委ねられているため、残業時間の削減も可能でしょう。
体調が優れない日は早めに仕事を切り上げて体調の回復に努め、体調が回復した万全の状態で仕事をすることもできます。
そのほか、子どもの保育園への送り迎えや、持病がある場合の病院への通院などが自由にできるようになり、いちいち年次有給休暇を取得する必要がなくなります。

このように従業員に自由な働き方を認めることは、優秀な人材の採用・確保につながり、社員の定着率を向上させる一つの大きな要因になるでしょう。

フレックスタイム制のデメリット

フレックスタイム制度のデメリットとして第一に挙げられるのは、個々の従業員の出社時間がまちまちであるため、他部門との打ち合わせ、部門内における会議の設定をするのが困難であることです。
この点は、「コアタイム」を設定することで問題を緩和する方法が一般的です。

また、取引先企業に出向く際や、顧客から担当者に連絡がある場合、個々の担当者の出社時間がまちまちであると顧客を待たせることになるなど、迅速な対応が出来ず、顧客満足度の低下につながりかねない、という点も挙げられます。
取引先との関係は対面で積み上げていくのが基本という考え方もあります。

社外のコミュニケーションだけでなく、社内のコミュニケーションも取りづらくなるといった点もデメリットとなるでしょう。
制度を導入するとおのずと社員同士が直接顔を合わせる機会が減り、業務内容の共有もメールや社内SNSを使うことが多くなりますが、仕事の指示・命令は顔を見ながらの方が意図を伝えるのもスムーズに行えるといった意見もあります。
会議も一同に会した方が時間的にも効率的です。
また、個人ごとに業務がわかれているならともかく、お互いに協力しながらチームワークで業務を遂行していかなくてはならない場合など、全員が一緒に業務を遂行しなければ、作業効率が落ちることもあります。

もう一つ、フレックスタイム制度のデメリットとしてあげられるのは、出退勤管理をきちんと自己管理できない従業員にフレックスタイム制度を導入すると、出退勤管理がルーズになりやすい、ということです。
こういう従業員は、コアタイムの開始時間が毎日の出社時間になってしまうなど、本来のフレックスタイム制度の趣旨を逸脱した運用になる可能性が大きいです。

こういったデメリットからフレックスタイム制を廃止する企業も増えてきているようです。

厚生労働省が毎年行っている就労条件総合調査の調査結果によるとフレックスタイム制を導入している企業の割合は平成23年には5.9%で、その後徐々に減少していき平成27年には4.9%となっています。

たとえば、深夜残業が増えてしまったために制度を廃止したような企業もあるようです。

導入のポイント

導入の際にはデメリットに挙げられたような、社内外のコミュニケーションに弊害が出ないか? が一番のポイントとなるでしょう。
業種、業界、社内の風土によるところも大きいので、御社に適した制度なのか?
どういった方法で運用していくのがよいか? を慎重に見極めたうえで導入していくことが重要です。

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