過労死や過重労働と並び、日本の労働環境において問題になっているメンタルヘルス問題。
職場のメンタルヘルスに関しては、世界各国でも様々な取り組みが進められています。
職業性ストレス、暴力、いじめやハラスメントについては
欧州でも労働安全衛生における重要な課題であると考えられています。
「EUの労働安全衛生の改善を促進するための施策の導入に関する指令」の中に
職場のメンタルヘルスへの対応が組み込まれてから、EU各国では、
職場ストレスのリスクマネジメント方法の統一したガイドラインが示されました。
日本の政策とEU諸国の政策をご紹介したいと思います。
日本の政策
昭和63年の「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」から
メンタルヘルスに関する関する取り組みが始まりました。
仕事の質や人間関係などにより、強い不安やストレスを感じている労働者は
6割を超えていると言われています。
労災補償でも、近年では精神障害に関する請求件数、
認定件数とも増加の一途をたどっています。
昨今の取り組みでは、
平成27年12月から開始したストレスチェック制度の活用や
職場環境等を改善することで、メンタルヘルス不調の発生をを未然に防止する一次予防
メンタルヘルス不調を早期発見し、適切な対応を行う二次予防
メンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰を支援する三次予防
があります。
また、①教育研修、情報提供及びセルフケア②ラインによるケア
③事業場内産業保健スタッフ等によるケア④事業場外資源によるケア
これら4つのメンタルヘルスケアが継続的かつ計画的に行われるようにすることが重要です。
海外の政策
各国によって、職場におけるメンタルヘルスへの取り組みは様々です。
オランダ
オランダでは、産業医や一般医向けに、認知行動療法に基づいた
職場におけるメンタルヘルス問題の対応方法を示すガイドラインが存在し、
メンタルヘルス不調者の職場復帰を産業医が介入し支援するように進められています。
デンマーク
デンマークでは、職場組織におけるルールがあり、
「仕事のリズム(単調、繰り返しが多いなど)」「孤立した仕事」によって
労働者の心身の健康を損なわないように組織されなければならないとしています。
また、デンマークのガイドラインでは、職場環境の定期的な調査が企業に義務付けられています。
この調査には職場におけるストレスも項目に含まれており、労働者の心身の健康を害する事案が
頻出する職場には、改善できるまで指導が行われることになっています。
メンタルヘルス問題の発生要因は、長時間労働や仕事内容にも関係があります。
労働者の心身の健康を守ることについて、理解を深めるとともに、どんな方法で実行していくか日本も考えていく必要があります。
※参考「事業場のメンタルヘルスの対策の現状と将来」(厚生労働省)