従業員や帰宅困難者向け「災害備蓄品」~企業で確保したい種類と量は~
- 2024/1/11
- 災害
2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震で被災された皆さまには心よりお見舞い申し上げます。
今回は元旦ということで多くの企業が休みとなっていましたが、災害はいつ発生するかわかりません。
平日の日中など、多くの方が就業している時間帯に災害が発生した場合、帰宅困難者が大勢発生することも予想されます。
筆者も今回の地震を受け、日ごろからの備えが改めて大切であると痛感しました。
本記事では、災害時に企業で備えておくべき備品などを紹介します。
災害時の備蓄はなぜ必要か
大規模地震などにより公共交通機関が停止した場合、帰宅困難者の多発が予想されます。
また、多くの人が一斉に屋外に滞留することで、混雑による集団転倒事故や落下物等による死傷の発生や、救助、救援の妨げとなる可能性があることから、災害発生時はむやみに移動を開始せず「施設内に待機」が原則とされています。(※津波の危険がない場合に限る)
さらに、発災後3日間(72時間)は、救助・救援活動を優先させる応急対策活動の期間とされており、内閣府「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン」では「地震発生以降の混乱が落ち着いた後、特に、救命・救助活動が落ち着くと考えられる発災後おおむね4日目以降を目途に、順次帰宅することが想定される」としています。
このため、企業では最低でも3日間生き延びるための備蓄が必要といえます。
企業で備蓄しておくべきもの
企業で備蓄するもの、数を検討する際は、下記手順で考えていきましょう。
① 最低限何が必要か把握
② 従業員1人あたりに必要な備蓄品の数量を把握
③ 保管場所の確保
④ 管理体制の構築
① 最低限必要なものを把握
・ 水:飲料水としてだけではなく、災害時は断水する可能性があることから、トイレや生活用水として必要となります。長期保存水(5~10年保存可能)がお勧めです。
・ 食料品:エネルギーがなければ、低体温症など体調不良のリスクが高まってしまいます。アルファ米など調理の必要がないものがお勧めです。また、栄養素不足の懸念もありますので、缶詰やフリーズドライ食品、野菜ジュースなども備蓄しておきましょう。
・ 衛生用品:非常用トイレやトイレットペーパー、ビニール袋、ナプキン、マスク、救急用品など
・ 電子機器:ラジオ、懐中電灯、非常用発電機、乾電池など(これらが一体化したものもあります)
・ 体を温めるもの:毛布やカーペットなど(普段から使用しているひざ掛けなども良いでしょう)
② 従業員1人あたりに必要な備蓄品の数量を把握
・ 水:3リットル/人(1日)×3日分=9リットル/人
・ 食料品:3食/人(1日)×3日分=9食/人
・ 毛布:1枚/人
③ 保管場所の確保
備蓄品は、できるだけ直射日光のあたらない場所で保管しましょう。また、古いものを手前に保管するようにすると管理が簡単です。
保管場所が決まったら、従業員にも周知し、災害時迅速に活用できるようにしておきましょう。
④ 管理体制の構築
必ず在庫管理などが円滑にできるよう、役割を決めておきましょう。
備蓄品の管理方法~ローリングストック法~
備蓄品を揃えるとともに、それらの管理方法も検討しましょう。お勧めの方法は、普段買っているものを消費しながら備蓄する「ローリングストック法」です。
ローリングストックとは、普段の食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が備蓄される状態を保つ方法です。
また、企業だけではなく、従業員個人でもデスクの引き出しなどにカップスープや菓子類なども保管しておくことを推奨するのも良いでしょう。
災害はいつ起こるかわかりません。日頃からの備えがいざという時、従業員の命を守ることにつながります。
この機会に自分の企業の災害備蓄状況を確認してみてください。
〈参考〉
・ 内閣府「帰宅困難者対策」
・ 内閣府「できることから始めよう!防災対策 第3回‐内閣府防災情報のページ」
・ 東京都防災ホームページ「災害が起きる前に(会社・職場編)」
・ 大阪府「帰宅困難者対策について」