冬こそロコモ対策で健康に~「いつもより10分多く」を意識~

冬になると寒さから活動量が減少しがちになりますね。
私たちは毎日体を動かして活動していますが、体を動かすためには骨や筋肉、関節などの運動器が深く関わっています。
今回は、その運動器トラブル「ロコモティブシンドローム」(略称:ロコモ、和名:運動器症候群)について解説します。

ロコモとは

ロコモティブシンドロームとは、体を動かすのに必要な骨や筋肉、関節などの運動器に障害が起こり、「歩く」「立つ」など移動するための能力が不足したり、衰えたりした状態をいいます。
ロコモが進行すると日常生活に制限をきたし、将来介護が必要になる、寝たきりになるなどの可能性が高くなります。
厚生労働省の調査結果によると、要支援・要介護になる原因のトップは転倒、骨折や関節の病気など運動器の故障です。
日常生活に支障はないと思っていても、すでにロコモになっていたり、進行している場合もあります。
いつまでも自分の足で歩き続けていくために、ロコモを予防し、健康寿命を延ばしていきましょう。

ロコモの原因

ロコモになる原因は、以下が挙げられます。

(1)加齢

加齢により筋力やバランス能力など自然と低下していきますが、特に下肢の筋力が低下しやすくなります。
そのため立つ、歩くなどの移動に必要な筋肉の機能が衰え、自然と運動量が減り、さらに筋力が低下するという悪循環に陥りやすくなるのです。

(2)運動不足

運動不足により筋力やバランス能力が低下しやすくなります。

(3)肥満・痩せすぎ

肥満により膝や腰などの関節への負担が大きくなることで、痛みが生じたり運動器の病気になりやすくなり、運動量が減少し筋肉量の低下が予測されます。
痩せすぎの方に多く見られるのが栄養不足です。
栄養不足により筋力維持に必要な栄養を十分に摂取できないため、筋力が低下しロコモに陥りやすくなります。
また、骨が脆くなるなど骨折のリスクも高まります。

(4)運動器の疾患または状態

以下に当てはまる状態、疾患をお持ちの方は、医療機関に受診し適切な治療を受けましょう。

・ 骨粗鬆症
・ 変形性膝関節症
・ 腰部脊柱管狭窄症
・ 関節リウマチ
・ 骨折
・ 神経痛、関節痛 など

ロコモを予防するためには

ロコモを予防・改善するためには、運動と食事が大切です。

(1)運動

ロコモを予防するために、足腰を鍛えることが重要です。普段の生活の中で、いつもより10分多く身体を動かすだけでも予防につながります。
無理のない範囲で、ご自身に合ったやり方で足腰を動かしていきましょう。

<例>
・ 歩幅を大きくしたり、早歩きをする
・ エレベーターやエスカレーターではなく階段を使用する
・ 散歩やジョギングの時間をつくる
・ テレビを観ながら筋トレやストレッチ
・ 買い物など外出頻度を増やす など

(2)食事

筋肉量や骨量を保つためにも、下記栄養素をバランスよく摂取しましょう。

・ タンパク質:筋肉量を維持する(肉類、魚類、卵、乳製品、大豆製品など)
・ カルシウム:骨を丈夫にする(牛乳やチーズなどの乳製品、骨ごと食べられる小魚、納豆などの大豆製品など)
・ ビタミンD:カルシウムの吸収を促進して骨を丈夫にし、筋力を高める(カツオやイワシ、サケなどの魚類、キノコ類、卵など)
・ ビタミンK:カルシウムを骨にとりこみ、骨を強くする(ブロッコリーやコマツナなどの緑の葉物野菜、肉類、大豆製品、卵など)

上記を参考にして、寒い時期こそロコモティブシンドローム対策を行ってみてください!

<参考文献>
・ 公益社団法人日本整形外科学会「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」
・ 公益社団法人日本整形外科学会ロコモONLINE「ロコモを知ろう」
・ 厚生労働省「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」

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砂川菜美株式会社ドクタートラスト 産業保健師

投稿者プロフィール

行政保健師として、乳児から高齢者まで幅広い世代の方々の健康に携わる中で、働く世代の健康増進の難しさと重要性を感じ、現在は産業保健師として活動しています。
健診事後措置や面談などの基本業務はもちろん、健康管理体制構築サポートや健康セミナーなど多方面で活動中。これまでの経験を活かし、それぞれのライフスタイルに寄り添った情報提供を行ってまいります。
【保有資格】看護師、保健師、第一種衛生管理者、健康運動指導士、人間ドック健診情報管理指導士、NARD JAPAN認定アロマアドバイザー
【ドクタートラストの保健師サービスへのお問い合わせはこちら】
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