法令順守されていない現状
労働安全衛生法は、「従業員の健康を確保する」ことを目的とした法律であり、
会社は真摯に向き合う必要があります。
労働安全衛生法
第一条 この法律は、労働基準法 (昭和二十二年法律第四十九号)と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。
しかし、労働安全衛生法の違反件数については、厚生労働省の資料が示すように、
ここ数年は微減にとどまっており、改善しているとはいえない状況です。
労働者の健康管理よりも、事業経営上の利益を優先するために違反が行われていると考えられています。
下記PDF3ページ目に違反件数等の記載があります。
「労働基準監督行政について」平成29年3月16日(木)厚生労働省労働基準局
社員の健康は会社の利益につながる
労働安全衛生法を順守するためには、様々な準備と、当然費用もかかります。
会社としては、ヒトもカネも使うため、具体的な費用対効果が気になるところです。
しかし、この法律を順守しても、即座に売り上げに直結するといった内容でないことを
前提に取り組まなければいけません。
この法令を順守して社員の健康が確保されることは、
会社にとってメリットでしかないと思うのです。
その理由を以下に挙げてみます。
1、健康になると社員が休まなくなる
体調を崩すと働けなくなってしまいます。
急に休む社員がいると、会社は困りますよね。
休んだ社員の業務を他の社員が代わりに行う必要もでてきます。
また、風邪で1日休んだ程度ではまだよいかもしれませんが、
長期間の休職になった場合などは、膨大な労力と費用がかかってしまうものです。
2、業務効率が上がる
人は色々なことを考えます。
仕事中は、当然仕事のことを考えているはずですが、
その職場環境が劣悪だった場合はどうでしょうか。
命の危険を感じながら働いていては、その人のもつ本来の力は発揮できないと思うのです。
健康被害を考えないで働くことができる職場は、心配が減り、
その分、業務に集中できるので業務効率もあがるはずです。
3、対外的な評価が高くなる
「健康を考える経営」という考え方が、徐々に広がってきています。
これは、経済産業省の施策「健康経営銘柄」にもあらわれています。
また、社会も健康についてこれまで以上に、関心をもってきているように思います。
取引先や、採用人材への印象もこれまで以上に良いものになるのではないでしょうか。
これは、今後良い人材の確保や、企業間での契約に優位に働くはずです。
法令を守らないことで、一時的に利益が出ることはあるかもしれません。
しかし、守らないことで取引停止になったり、
優秀な人材が会社を去ってしまい経営が傾くことは、実際に起こりえるのです。
社員の健康を確保することは、会社にとってメリットでしかないと思うのですが、
皆さんはどう思われますか?