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2月6日は「抹茶の日」です。
茶道において釜を掛けて湯を沸かす道具「風炉(ふろ)」の語呂合わせから決められました。
抹茶の生産地として名高い愛知県西尾市の西尾茶協同組合が1992年(平成4年)に制定しました。
今回は、「抹茶の日」にちなんで抹茶の栄養や効果について解説します。
抹茶には、生活習慣病の予防効果やリラックス効果などがある栄養成分が多く含まれており、働く世代にぜひ取ってほしい食材です。
「これから健康について意識していこう」「健康のために何か取り入れてみようかな」と考えている方は参考にしていただけたらと思います。
そもそも抹茶とは何か知っていますか?
抹茶は、公益社団法人日本茶業中央会のサイトで以下のように定義されています。
碾茶(覆下栽培した茶葉を碾茶炉等で揉まずに乾燥したもの)を茶臼等で微粉末状に製造したもの
引用:公益社団法人日本茶業中央会「名称及び定義」
碾茶(てんちゃ)と同じ読み方で甜茶というお茶を聞いたことがある方もいるかと思いますが、これらは異なるものです。
日本で飲まれるお茶には、抹茶以外にも煎茶や紅茶、ウーロン茶などさまざまな種類がありますが、すべて同じチャノキからできており、その違いは品種や製造方法によるものです。
抹茶の元となる碾茶は、日光を遮るために被覆資材で2~3週間程度覆いをしてから摘採しており、苦みや渋みが少なく旨みが強いのが特徴です。
この時期気を付けたいインフルエンザの予防にもお茶が効果的?!
ここからは抹茶に含まれる栄養成分について解説していきます。
カテキン
抹茶をはじめとする緑茶にはポリフェノールの一種で渋み成分であるカテキンが含まれています。
カテキンの成分はエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの約4種類が大半を占め、なかでもエピガロカテキンガレートが半量を占めるといわれています。
カテキンには抗酸化作用や抗菌・抗ウイルス作用、抗アレルギー作用、体脂肪低減作用などさまざまな健康効果があると報告されています。
昨年末から流行しているインフルエンザの予防にもカテキンが有効とされています。
静岡県の小学生を対象にインフルエンザ発症と緑茶飲用習慣との関連を調査した研究では、週6日以上緑茶を飲んだ群は3日未満の群と比べるとインフルエンザの発症割合に有意な減少が認められました。
また、1日あたりの緑茶飲用量においても、1杯未満の群と比較して1~3杯の群、3~5杯の群でインフルエンザの発症割合に有意な減少が認められています。
テアニン
抹茶をはじめとする緑茶にはアミノ酸の一種であるテアニンという栄養素が含まれています。
テアニンはストレスの緩和やリラックス効果、睡眠の質の向上が期待できます。
また、株式会社伊藤園と株式会社MCBIの研究では、中高齢者を対象に抹茶を1日2gずつ12週間摂取し続けた結果、「注意力」および「判断力」の精度向上や睡眠の質が向上する傾向が示されたことが報告されています。
骨粗鬆症や生活習慣病の予防効果のある栄養素が含まれている
ビタミンK
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、ビタミンKの1日の推奨摂取量は18~75歳以上の男女ともに150μgが目安です。
ビタミンKは水に溶けないため、緑茶では茶葉に残ってしまいうまく摂取できませんが、抹茶であればその心配もありません。
また、2gあたり58μgのビタミンKを含み、なんと1日の目安量の3分の1をとることができます!
血液の凝固作用のあるビタミンKは、近年では骨粗鬆症や動脈硬化の予防や治療にも効果があるとされています。
骨粗鬆症は骨の量が減って骨が弱くなり骨折しやすくなる病気で、高齢化の進む日本では1,000万人以上の患者がいると推定されています。
特に、50代以降の女性においては、閉経による女性ホルモンによる影響で急激に増加します。
同じくビタミンKを多く含む食品としては、納豆や豆乳などの大豆製品やブロッコリーやほうれん草などの濃い緑の食品に多く含まれます。
カリウム
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、カリウムの1日の推奨摂取量は18~75歳以上の男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上が目標量です。
緑茶100mlあたりのカリウムは27mgですが、抹茶2gあたり54mgと約2倍の量が含まれます。
カリウムは余分な塩分の排出を促すため、高血圧の予防や改善に効果があります。
そのほか、むくみの解消にもつながります。
同じくカリウムを多く含む食品としてはトマトやブロッコリー、アボカドなどの野菜やバナナ、キウイフルーツなどの果物、さつまいもなどのいも類、納豆に多く含まれています。
今回は、抹茶の日にちなんで抹茶の栄養素について紹介しました。
抹茶は「茶筅を使ってお茶を点てて飲む」というイメージが強く、ハードルが高いと思われがちです。
しかし、マグカップでお湯に溶かして飲んだり、ペットボトルなどで冷たい水に溶かして飲んだりするなど、簡単に抹茶を楽しむ方法もあります。
これからは、気軽に抹茶を飲んでみてはいかがでしょうか?
<参考>
・Mijong Park et al「Green Tea Consumption Is Inversely Associated with the Incidence of Influenza Infection among Schoolchildren in a Tea Plantation Area of Japan」(The Journal of Nutrition,2011,p1862-1870)
・日本カテキン学会「カテキンのいろは」
・農林水産省「茶カテキンの特性とその有効利用」
・株式会社伊藤園「抹茶の継続摂取による睡眠の質の向上と社会的認知機能の改善を確認」
・公益社団法人日本整形外科学会「骨粗鬆症」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
・文部科学省「食品成分データベース」