男性の約半数が「寝るためにお酒を飲む」|飲酒習慣が睡眠の質を下げるメカニズムと今日からできる対策
- 2026/3/13
- 睡眠

健康相談や保健指導の場で生活習慣についてお話を伺っていると、習慣的にお酒を飲む方ほど「眠りが浅い」と感じているケースが目立ちます。
なかには「眠るためにお酒を飲む」という方も少なくありません。
実際、飲酒習慣のある人は睡眠が浅くなると感じているという調査結果は複数あります。
また、日本人の成人を対象とした研究では、睡眠補助として週1回以上アルコールを使用している人の割合は、男性で48.3%、女性で18.3%という報告もあります。
しかし、こうした寝酒の習慣がある方からは、「寝つきは良いのに、夜中に目が覚めてしまう」という声がとても多く聞かれます。
今回は、飲酒と睡眠の関係、そして今日からできる対策について解説していきます。
夜中に起きてしまうのはなぜ?
飲酒によって一時的には寝つきは良くなりますが、睡眠のリズムが乱れ中途覚醒を引き起こしやすくなるなど、全体としては睡眠状態を悪化させる場合が多いです。
アルコールを飲むことで、深い睡眠であるノンレム睡眠が減ってしまいます。
さらに、アルコールが分解する過程でできるアセトアルデヒドという物質には交感神経を刺激する作用があり、中途覚醒しやすくなってしまいます。
また、それだけでなくアルコールには利尿作用や筋肉を緩める作用があるため、夜間に尿意で目が覚めやすくなったり、気道が狭くなることでいびきや睡眠時無呼吸が起きやすくなったりします。
いびきや無呼吸が起こると呼吸が不安定になり、脳が「息がしにくい」と判断して覚醒反応を起こすため、熟睡感が低下し、中途覚醒が増える原因になります。
睡眠の質を落とすお酒の量
健康面のリスクを考えたとき、適切な飲酒量の目安としてよく用いられるのが「純アルコール量20g」です。
最近では、市販のアルコール飲料にも純アルコール量表記がされているものが多いので普段飲むお酒の純アルコール量を確認してみましょう。
表記がない場合、外で飲む場合は、以下を参考に計算してみましょう。
純アルコール量(g)=お酒の量(ml)×アルコール度数(%)÷100×0.8
※0.8はアルコールの比重(重さ)です。
生活習慣病やさまざまな疾患リスクを踏まえた基準ですが、性別差(男性より女性の方が分解できるアルコール量が少ないこと)や個人の体質の差、年齢の差、飲酒による疾患への影響もさまざまです。
睡眠の質を保つためには、レム睡眠とノンレム睡眠がバランスよく繰り返されることがとても重要です。ところが、アルコールを一定量以上摂取すると、この睡眠のリズムが乱れやすくなります。
特に、体重1kgあたり0.75g以上のアルコールを摂取すると、深い休息に関わるレム睡眠が顕著に減少するという研究報告があります。
「体重1kgあたり0.75g以上」=体重60kgの人なら約45gのアルコール(ビール中瓶約2本、日本酒2合程度)
アルコールの代謝には個人差がありますが、上述した量を超えて飲む習慣がある場合は以下の問題が起きていないか振り返ってみましょう。
・ 夜中に目が覚めやすい
・ 朝起きても疲れが残る
・ 熟睡感が得られない
お酒との付き合い方
アルコールが体から抜けるまで個人差がありますが純アルコール約20gが体内から抜けるのに約4~5時間が目安とされます。
さまざまなサイトで、アルコール量に応じた分解速度の目安を調べることができるので確認してみましょう。
以下には、厚生労働省で発表している純アルコール量とアルコール分解時間を把握するためのツールを載せています。
とてもわかりやすいので、普段の飲酒量が分解されるのにどのくらいの時間がかかるのか確認してみましょう。
また、睡眠中は、腸の働きや肝臓の働きが弱まるため分解速度がより遅くなるといわれており、飲んですぐ寝るという方は注意が必要です。
飲酒量にもよりますが、飲んでから寝るまで4時間以上あけられると理想的です。
お酒を減らす具体的な方法とは
お酒を減らしたい気持ちはあっても、習慣になっているとなかなか難しいものです。
そこで、今日から取り入れやすい減酒の工夫をいくつかご紹介します。
①アルコール度数の低いお酒を選ぶ
「この銘柄じゃなきゃダメ」というこだわりがない方におすすめです。
同じ量を飲む場合でも、度数が低いほど身体や睡眠への負担は軽くなります。
②ノンアル飲料・炭酸水・水を挟んで総量を減らす
「帰宅後の一杯でスカッとしたい」「なんとなく飲んでしまう」という方に向いています。
ノンアル飲料や炭酸水を間に挟むことで、満足感を保ちながらアルコール量を自然と減らすことができます。
キッチンドリンカーの方にも効果的です。
③減酒日・休肝日をつくる
「飲み始めると酔うまで止まらない」というタイプの方には、飲まない日を先に決めてしまう方法がおすすめです。
週1日からでも、トライしてみましょう!
④飲み終える時間を早める
ダラダラ飲んでしまう方は、飲む時間を区切るのがおすすめです。
「21時まで」「夕食と一緒にだけ」など、ルールを決めることで自然と量が減り、早く飲み終えることで、睡眠への影響も少なくなります。
睡眠が浅い状態が続くと、日中のパフォーマンスが落ちるだけでなく、心身の健康リスクも高まってしまいます。
「わかってはいるけれど、なかなかお酒を減らせない……」という方も多いと思います。
そんなときは、今回ご紹介したような小さな工夫から始めてみると、睡眠の質は少しずつ変わっていきます。
実際に保健指導の場でも、お酒の量のコントロールをしたことで前よりもぐっすり眠れるようになったという声が多く聞かれます。
そして、もし「飲酒量のコントロールが難しい」「健康面が心配」「睡眠の不調が続く」といった場合には、アルコール外来や睡眠外来など専門の医療機関を利用するという選択肢もあります。
一人で抱え込まず、必要に応じて専門家の力を借りることも大切です。
飲酒との付き合い方を見直すことは、睡眠だけでなく健康全体を整える大切な一歩です。
<参考>
・ Kaneita Y, et al.「Use of alcohol and hypnotic medication as aids to sleep among the Japanese general population」 (2007年11月『Sleep Medicine』vol.8(7-8)、723-732)
・ 厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドラインについて」
・ 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」





















