職場の人間関係や業務過多、満員電車など、働く人の周りにはさまざまなストレッサー(ストレスの原因)が存在します。
ストレスを感じた時、皆さんはどのように対処しますか?
人に話す、趣味で発散する、おいしいものを食べる……。
ストレスへの対処方法は人それぞれですが、食事や睡眠といった生活習慣を整えることでストレスを低減させることも方法の1つです。
そこで今回は、ストレスや疲労を感じている方に気を付けていただきたい生活習慣のポイントをお伝えいたします。
ストレス低減に役立つ栄養素
ストレスを感じるとつい、暴飲暴食をしてしまったり甘いものが食べたくなってしまったりと食欲に影響が出る方もいらっしゃるのではないでしょうか?
頑張っているご褒美として時々デザートやお酒を楽しむのはOKですが、糖質に偏った食事や食事リズムの乱れは、さらなる心や体の不調につながってしまいます。
ストレスを感じている時こそ、体を労わる食事を心がけましょう。
以下に、ストレスを感じている方におすすめの栄養素をご紹介いたします。
① トリプトファン
トリプトファンは幸せホルモン「セロトニン」の材料になる栄養素です。
バナナや卵、乳製品や肉類、大豆製品などに多く含まれています。
② ビタミンB群
ビタミンB群は、ストレス時に合成されるホルモンを生成するのに必要な栄養素です。
赤身魚や豚肉、大豆製品、卵、牛乳、ヨーグルトなどに多く含まれています。
③ ビタミンC
ビタミンCは、ストレス時に消耗が進んでしまうので補給することが重要です。
また、抗ストレスホルモン「コルチゾール」の材料としても利用される栄養素です。
柑橘類やイチゴ、ブロッコリー、イモ類(ジャガイモ、サツマイモ)に多く含まれています。
④ ポリフェノール
ポリフェノールは、抗酸化作用を持つ栄養素です。
ストレスに対する抵抗力を高める働きがあります。
ワインや緑茶、ココア、チョコレートなどに多く含まれています。
⑤ ビタミンA、ビタミンE
ビタミンA、ビタミンEは、抗酸化作用を持つ栄養素です。
ストレスに対する抵抗力を高める働きがあります。
ビタミンAを多く含む食品はニンジンやカボチャ、レバー、モロヘイヤなど、ビタミンEを多く含む食品はアーモンドやカボチャなどです。
⑥ GABA
GABAは、イライラや興奮、精神的なストレスを抑制する栄養素です。
発芽玄米や果物(メロンやバナナ)、トマト、パプリカなどに多く含まれています。
GABAが配合された機能性表示食品などもあります。
さまざまな栄養素、食品をご紹介いたしました。
何から取り入れようと迷った方は、朝食にバナナとヨーグルト、昼食や夕食に豚肉や赤身魚がおかずの定食、できれば豆腐や納豆をプラスするのがおすすめです。
また、これからの季節はミカンやイチゴが旬なので、甘いものが食べたくなったら果物を取り入れてみてはいかがでしょうか?
ストレス低減につながる睡眠
ストレスを感じたり、悩みがあったりするとなかなか寝付けないという方も多いのではないでしょうか?
良質で十分な睡眠は心身の健康につながります。
睡眠が足りていない、充実していないという方は以下の点に気を付けてみてください。
① コーヒーや紅茶、緑茶などカフェインを多く含む飲料は夕方以降飲まない
② 就寝前4時間以降にアルコールは飲まない
※摂取量が増えると代謝にさらに時間がかかります。適正飲酒量として、7%チューハイ(350ミリリットル)なら1缶、ビール(500ミリリットル)なら1缶が目安です。
③ たばこは寝る2時間前までに済ませる
※カフェインやアルコール、ニコチンはいずれも睡眠の質を下げてしまいます
また就寝の1時間前からは電子機器の使用を控える、入浴してから1~2時間で布団に入る、睡眠の時間を固定し規則正しい生活を送る、なども良い睡眠のために重要なポイントです。
良質な睡眠をとるために、ぜひご自身で睡眠環境を整えてみてください。
ストレスと運動について
疲れがたまっている時、ストレスを感じている時に「運動しよう!」と思う方はなかなかいらっしゃらないかもしれません。
しかし、甲斐裕子ほか「職業性ストレスに着目した余暇身体活動と抑うつの関連性についての検討」では、運動回数が月4回以上の場合は、月4回未満の場合とくらべて抑うつ傾向者の割合が低いことがわかっています。
特にストレスの高い方ほど運動による抑うつ抑制効果が高くなります。
また、甲斐裕子ほか「余暇身体活動および通勤時の歩行が勤務者の抑うつに及ぼす影響」では余暇時間に全く運動をしないグループにくらべ、1週間に運動を2時間以上しているグループは1年後に抑うつになるリスクが約半分に抑えられることもわかっています。
このように、さまざまな研究から余暇時間の運動がストレスを低減する、抑うつ傾向を抑えることが明らかになっています。
ストレス低減におすすめの運動は、ヨガ、ジョギング、ウォーキングです。
これらの有酸素運動を行うことで分泌される「幸せホルモン」ことセロトニンが脳の中で感情や記憶を司る部分に伝達すると、精神的な落ち着きが得られると考えられています。
仕事などでストレスを感じている方こそ、空き時間や休日に運動を積極的に取り入れることをおすすめします。
運動することへのハードルが高い方は、ランチの後に10分程度会社の周りを歩いてみたり、歯磨きやドライヤーの時間に足踏み体操をしたりしてみてはいかがでしょうか?
ここまでさまざまな方法をご紹介しましたが、ご自身の生活に取り入れられそうなものはございましたでしょうか?
生活習慣を整え、ストレスを低減させるために役立てていただけますと幸いです。
<参考>
・ 厚生労働省「快眠と生活習慣」
・ 甲斐裕子、永松俊哉、志和忠志、杉本正子、小松優紀、須山靖男「職業性ストレスに着目した余暇身体活動と抑うつの関連性についての検討」
・ 甲斐裕子、永松俊哉、山口幸生、徳島了「余暇身体活動および通勤時の歩行が勤務者の抑うつに及ぼす影響」