男性が更年期を健やかに過ごすために必要なのは「自分自身を認めること」

男性にも更年期症状があります

更年期と聞くと女性特有のものと思われがちですが、更年期の症状は男性にもあります。
その原因は、男性ホルモンの低下やバランスの乱れが原因とされています。
女性の更年期障害は、閉経を迎える50歳前後の10年間に女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少することで起こります。
閉経後は徐々に慣れて症状は治まっていくといわれています。
一方で男性の場合、男性ホルモン(テストステロン)は一般的に中年以降、加齢とともに穏やかに減少します。

減少の速さや度合い、時期は個人差が大きいため、女性と似た更年期症状が男性では、40歳代以降どの年代でも起こる可能性があります。
男性と女性の更年期障害には以下のような違いがあります。

男性女性
原因男性ホルモンの低下女性ホルモンの低下
時期特に決まっていない(40歳以降いつまでも)閉経の前後5年(50歳前後)
期間終わりがない閉経5年ほどで症状が落ち着く

参考:一般社団法人日本内分泌学会「男性更年期障害(加齢性腺機能低下症、LOH症候群)」

更年期症状を自覚する男性の3つの課題

株式会社ツムラが2022年12月に行った調査結果より、更年期症状を抱える男性には3つの課題があることがわかりました。

①自分が更年期症状であることを認めたくないという「自分自身における課題」
②人に相談しづらい、打ち明けづらいという「対話における課題」
③対処方法がわからない、何科に行けばいいのかわからないといった「正しい対処法に関する情報への課題」

この課題から、男性の更年期をより健やかに過ごすためには「今の自分自身を認める」「身近な人や専門家と対話する」「正しい情報」この3つ大切だと考えられました。

男性が更年期を健やかに過ごす方法3つ

今の自分自身を認める

更年期の男性は、若いときのようなエネルギーがなくなった、周囲から十分に評価されていない、仕事にやりがいが感じられないなど、ネガティブな感情を抱きがちです。
そういったネガティブな感情にとらわれるのではなく、更年期は誰もが迎える人生のハーフタイムと受け止め、仕事や家族、プライベートについて考え、生きがいを見直し、体調を整えることを優先しましょう。

身近な人や専門家と対話する

更年期の症状を自覚する男性が言われて傷ついた言葉として「注意力散漫」「体調管理ができていない」「もうお年だから」などがあげられ、逆に言われて嬉しかった言葉は「誰でもなる」「みんな通る道」、妻から「安心して私がついている」、同僚から「大丈夫、私もです」などがあげられました。
また、更年期症状を人に相談してよかったこととして「先に経験している方に相談するだけでも気持ちが楽になる」「定期健康診断のときに相談し専門医に指導を受けることができた。生活習慣の改善に取り組んでいる」などの声が聞かれました。
身近な配偶者や同世代の友人からのひと言や、専門医からのアドバイスが大きな励ましとなっているようです。もし周囲にこのような症状を抱えている人がいたら、ネガティブな声かけではなく、症状に対して共感したり、大丈夫だよという寄り添った声かけをできるようにしましょう。

正しい情報

更年期症状について、20代〜60代の男性と女性、各600人に聞いたところ、男性の約4人に3人が「知識を得たい」「正しい認識が広まってほしい」と思っていることがわかりました。
ただ、男性の約8割が、自分の更年期症状への対処法は「わからない」という結果もありました。
このことから、会社の中でも男性の更年期症状について知識を広めることが重要になってくるでしょう。
また、男性の更年期は症状を我慢してもよくなりません。更年期症状をはじめ、心身の不調などの症状が現れた場合は、一度泌尿器科を受診し相談してみましょう。

症状緩和のためにできる生活習慣の改善

最後に、更年期症状を緩和するため男性自身が日常生活に簡単に取り入れられることをご紹介します。

■男性ホルモン(テストステロン)を増やす食事

玉ネギ、納豆、オクラ、山芋、ナメコ、ワカメ、大豆、レバー、カキ、ウナギ、バナナ、ラム肉、牛肉などが効果的です。

■適度な運動

適度な運動はテストステロンを増加させるために効果的です。
最も効果的だといわれているのがスクワットなどの筋トレです。
また、肥満はテストステロが減る原因になりますので、ウォーキングやジョギングといった有酸素運動も取り入れて肥満の改善に努めましょう。

■良質な睡眠

テストステロンは睡眠中、特に夜中の1時から3時あたりでたくさん作られるといわれています。
睡眠の質を高めるためには、寝る前にスマートフォンやパソコンを使わないようにして、照明の強さを落として気持ちを落ち着かせましょう。

<参考>
株式会社ツムラ「ツムラの更年期調査 第1弾! 20代〜60代の男性600人に聞く、更年期に関するイメージと実態を調査」

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中村 有紀株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

行政や健診センターにて幅広い年代の方々と関わる中で、働く世代の健康づくりの難しさを痛感すると共にその重要さを感じ、現在は産業保健師として活動しています。
仕事で忙しくご自身の健康に目を向ける機会が少ないという方々にも、役立つような健康情報を分かりやすくお届けしてきたいと思います。
【保有資格】看護師、保健師、第一種衛生管理者、人間ドック健診情報管理指導士
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