若い人も他人事ではない、脳卒中のリスク~5/25~31は脳卒中週間です~
- 2022/5/25
- 病状・症状
脳卒中は高齢者の病気だと思っていませんか?
確かに、高齢者ほど脳卒中が起こりやすくなるのは事実ですが、近年若い人に増えていることが専門家の間でも問題視されています。
筆者も、脳卒中で職場で倒れ病院に運ばれた20歳の方を実際に見たことがありますが、皆さんの周りではいかがでしょうか。
芸能界でも若い人が脳卒中で入院したという報道を聞いたことがある方もいるかもしれません。
働き盛りの若い人も決して他人事ではない、そんな脳卒中についてご紹介していきます。
脳卒中と脳梗塞、何が違うの?
まずはじめに、脳卒中と脳梗塞との違いを説明します。
おおまかに分けると、①脳の血管が狭くなったり、詰まったりするのが「脳梗塞」、②脳の血管が破れて出血するのが「脳出血」と「くも膜下出血」です。
どちらも、動脈硬化のため血管がもろくなることが主な原因です。
これらの病気はどれも脳の血管の障害によって突然起こる、「卒然として中(あた)る」病気ということから「脳卒中」と呼ばれています。
そんな脳卒中の予防として基本となるのは、バランスの良い食事や適度な運動などが大切ということは既知の事実です。
今回は少し切り口を変えて、上記の他にもできる脳卒中の予防方法を2つご紹介します。
6時間以上の睡眠とれていますか?
睡眠は血管や脳のメンテナンス時間です。
睡眠時間が不足すると、血管が詰まったり壊れたりして脳卒中や心疾患などの大きな血管の病気を引き起こします。
特に、高齢者の方でなく30代などの若い方が脳梗塞などで亡くなることがあるのは、睡眠不足によってこのメンテナンスがうまくいっていなかったというパターンが多いです。
ちなみに、睡眠時間が6時間を切るとうつ病のリスクが上がるという研究データもあります。
血管や脳の修復・回復は睡眠時間にしかできません。仕事が忙しいとつい睡眠時間を削りがちですが、心身の健康に加え仕事のパフォーマンスにも関わってくる大切な時間です。
理想は7時間、最低でも6時間は切らないよう意識しましょう。
また、企業として取り組めることは、社員への健康教育として睡眠について深く知ってもらう機会を作ることです。
睡眠に特化した研修でも良いですし、セルフケア研修の一環として睡眠について触れたりすることで、社員全員に対して睡眠の重要性や睡眠習慣の改善方法などについてお伝えできる場があると良いですね。
脳卒中は緑茶で予防できる?
緑茶を飲むと脳卒中のリスクを下げてくれること、ご存じでしょうか?
今まで脳卒中と緑茶の関係についてさまざまな研究が行われてきました。
たとえば、国立がん研究センターの研究では、緑茶を飲まない人に比べて、毎日2~3杯と4杯以上緑茶を飲む人の発症リスクが14~20%低いと結果が出ています。
緑茶に含まれるカテキンには、抗酸化作用、抗炎症作用、抗血栓作用など、血管を保護してくれる効果があるといいます。
また、大阪大学の研究では、今まで脳卒中に罹ったことのある人の死亡リスクも低下させる結果が出ています。
一度脳卒中を経験していても、緑茶を飲むことでさらに死亡リスクを減らせるということですね。
緑茶にはリラック効果や疲労回復効果もありますので、皆さんも仕事中の1杯に緑茶を取り入れてみてはいかがでしょうか。
ここまで、脳卒中について、睡眠の重要性と緑茶の効果についてお伝えしてきました。
脳卒中の予防に加え、仕事のパフォーマンス向上のためにも、ぜひ今一度ご自身の生活習慣を見直してみてくださいね。
<参考>
・ 森本将史『読みやすい、わかりやすい脳梗塞35の重要ポイント』(現代書林、2019年4月)
・ 国立研究開発法人国立がん研究センター「緑茶・コーヒー摂取と脳卒中発症との関連について」
・ 寺本将行ほか「Green Tea and Coffee Consumption and All-Cause Mortality Among Persons With and Without Stroke or Myocardial Infarction」(「Stroke」2021年3月)