更年期症状は男女ともに起こる可能性あり!会社として、個人としてどう対策したらいい?

ホルモンの低下により、ほてりやのぼせ、動悸、関節痛、気分の落ち込み、意欲低下など、さまざまな症状が現れる更年期。
厚生労働省の調査によると、男女ともに約8割が更年期症状を自覚していても医療機関を受診していませんでした
受診しない理由では、男女ともに「医療機関に行くほどのことではないと思うから」が最も多かったです。
症状に悩まされ、仕事を辞めざるを得なくなる場合もあるため、働く男女の更年期問題は職場全体で考えていく必要があります。
今回はそのためのヒントをご紹介します。

更年期に起こる症状を知っておけば早めに対処できる

更年期に関する実態調査によると、「自分の更年期症状への対処方法は分からない」と回答する人が圧倒的に多い一方で、「更年期症状に対する知識を得ておきたい」と思う割合は男性で74.7%、女性で83.3%と男女ともに高い状況も明らかになっています。
更年期に入る前に知っておきたかった情報としては、以下のものが上位にあがっています。

・ 主な更年期症状の内容や程度
・ 主な更年期症状に対する対処法
・ 医療機関を受診する目安
・ 受診すべき診療科の情報

このうち医療機関への受診目安としては「症状により生活や人間関係に困難が生じる」ことがあげられます。
しかし症状は個人差が大きいため、つらいときは早めに婦人科や泌尿器科、心療内科を受診しましょう。
更年期の心身の不調への対処については、正確な情報を得て、それらの情報をもとに自分の症状に適した対応をすることが重要です。
そのためには、更年期に関するリテラシー向上や具体的な症状への対処を支援する環境づくりが鍵となります。
そこで、ここからは職場でもできる支援を2つご紹介します。

更年期の職場対応(1)まずは知ってもらう

上記に記載したような情報を知っておきたいと多くの人は感じています。
更年期に関する情報を社内の研修(セミナー)やイントラなどのツールで周知できるとよいでしょう。
一番効果的なのは、全社員に向けた研修(セミナー)の開催です。
リアルタイムで全社員が更年期についての話を聞き、共通認識を持つことができます。
全社員同時の開催が難しいようでしたら、数回に分けての開催もよいでしょう。
大切なのはすべての年代の方に知識を持っていただくことです。
「産業保健新聞」運営元のドクタートラストでも、「男女の更年期」をテーマにしたセミナーの開催依頼が急増しています。
女性の健康に加え、昨今話題になっている男性の更年期への関心の高まりも肌で感じています。

更年期の職場対応(2)上手なコミュニケーションと風土づくり

職場においては、周囲の人たちの理解やサポートも欠かせません。
ただ、更年期の不調は外から見てもわかりづらく、何も言わずに察してもらうことは難しい場合が多いので、自分でも言葉で簡単に伝えられるとよいでしょう。

① もし自分が更年期と思われる不調を感じた場合

まずは、自分に一番近い人に不調を伝えることがポイントです。
隣の席の同僚や一緒に仕事をしているチームのメンバーなど、上司以外の人でも大丈夫です。
周囲に伝えるときには、「更年期の不調のため仕事を100%の力でこなすことができない」「体調がよくないので休む時間がほしい」という程度で大丈夫です。
それを聞いた周囲の人たちは、「更年期に現れる不調によって困っている人がいる」ことを理解して、相手の状況を想像するだけで十分です。
また、普段から、困ったときはお互い様という空気を作っておくことも大切ですね。

② 部下から相談された上司の対応の例

<対応例>
部下「体調が悪くて仕事に支障が出ています」
上司「わかりました。無理しないでくださいね。何かできることがないか教えてください」

不調の原因を根掘り葉掘り聞くことは避けましょう。
不調の詳細を明かすことに抵抗がある方もいます。
また、もし体調が悪そうに見えても、本人から申し出がない場合は、上司から本人の近しい人へ「〇〇さん、調子が悪そうだけど、ちょっと声をかけてみてくれますか?それで、私やチームでサポートできそうなことがあれば教えてください」などの声かけをしてみるのもよいでしょう。
このようなコミュニケーションをとれるようになるためには、まず会社全体で更年期への理解を深めることが重要です。
知識の普及から取り組んでみましょう。

<参考>
・ 厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」
・ 「働く男女の更年期対策」(「月刊へるすあっぷ21」2023年4月号、法研)

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中村 有紀株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

行政や健診センターにて幅広い年代の方々と関わる中で、働く世代の健康づくりの難しさを痛感すると共にその重要さを感じ、現在は産業保健師として活動しています。
仕事で忙しくご自身の健康に目を向ける機会が少ないという方々にも、役立つような健康情報を分かりやすくお届けしてきたいと思います。
【保有資格】看護師、保健師、第一種衛生管理者、人間ドック健診情報管理指導士
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