会社や市町村の健康診断で、「コレステロールが高い」と指摘を受けたことはありませんか?
脂質異常症(高脂血症)は、血液中の脂質が異常値を示す病気です。
この病気で治療を受けている日本人は188万人を超え、日本人の3人に1人以上がコレステロールの高さを指摘されたことがあるという調査結果が出ています。
(厚生労働省 平成23年 患者調査の概況・平成22年国民健康栄養調査より)
コレステロールの値に異常があっても、心筋梗塞などの重大な病気を引き起こすまでは自覚症状もありません。
そのため、健康診断で異常値を指摘されても、受診せずに放置しているケースも目立ちます。
しかし、この高脂血症には、特に注意が必要なタイプの病気が潜んでいることをご存知でしょうか?
その病気の場合、男性は40歳・女性は50歳以上という早い段階で、心筋梗塞で命を落とす可能性があるのです。
高脂血症に潜む恐ろしい病気
高脂血症の多くが、食生活の乱れや運動不足、ストレスなどが原因で引き起こされています。
そのため、薬剤での治療を始める前に、食事指導や生活指導を受けることで、改善されることも多い病気です。
しかし、コレステロールの値が高い人たちの中に、一部遺伝性の疾患が隠れていることがわかっています。
その病気とは、「家族性高コレステロール血症」です。
この病気は、生まれつき、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールが病的に増えてしまう病気です。
父親と母親の両方にこの遺伝子がある場合、幼い頃からLDLコレステロールが非常に高くなり、小児の心筋梗塞を引き起こす恐れがあります。
それに対して、両親の片方からこの遺伝子を引き継いだ場合は、双方から引き継いだ場合と比べてコレステロール値の上昇も少なく、遺伝性の病気とは気づかれにくくなっています。
日本人の実に500人に1人がこの遺伝子を受け継いでいると言われ、患者数は25万人に上ると推測されます。
こんな症状があったら遺伝性の高脂血症を疑おう
家族性高コレステロール血症の場合、特徴的な症状があります。
1.LDLコレステロールが高い
両親のどちらかからこの遺伝子を受け継いだタイプの場合、未治療時の平均値は248mg/dLという調査結果が出ています。
(※両親双方から遺伝子を受け継いだ場合は600mg/dlと明らかな異常値となります。)
2.黄色腫
おしりやひじ、手の甲などに黄色い脂肪の塊ができます。
3.アキレス腱の肥厚
2の黄色腫はアキレス腱にできやすいため、アキレス腱がふくらんで厚くなります。
4.角膜輪
黒目の淵に白い輪ができます。
高コレステロール血症かどうか迷ったら
悪玉コレステロールが高く、自分が家族性高コレステロール血症かもしれない・・・と疑われる方は、以下の項目を確認してみましょう。
□両親や兄弟姉妹に、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が180mg/dl以上の人がいる
□50歳以下で心筋梗塞や狭心症を起こした人がいる
□アキレス腱・ひざ・ひじ・おしりなどに、ポコッとした脂肪の塊(黄色腫)ができている
これらの項目に当てはまる場合は、家族性高コレステロール血症の遺伝子を受け継いでいる可能性があります。
その場合、食事療法や運動療法で気長に様子を見るのではなく、薬剤も含めた積極的な治療が必要です。
家族性高コレステロール血症は、40代・50代という働き盛りの年齢で心筋梗塞を引き起こす可能性が高い病気です。
「コレステロールが高めだけれど、体重が増えているせいかな。痩せれば改善するだろう。」という思い込みが、命を失うことに繋がりかねません。
先に挙げた項目に当てはまる方は、ぜひ早めに内科の医師にご相談ください。