このたびの熊本地震により被災された皆さまと、ご家族の方々、関係者の方々に心よりお見舞い申し上げます。
また、被災地等におきまして、救援や復興支援などの活動に尽力されている方々に深く敬意を表しますとともに、皆さまの安全と一日も早い復旧、復興をお祈り申し上げます。
熊本地震で見直したい、オフィスの防災対策
今回の熊本地震を経て、改めてオフィスの防災対策を見直している企業も多いのではないでしょうか?
オフィス内の安全はもちろんですが、私は以下「あ・え・て・さ・し・み」の対策をお勧めします。
あ 安全対策(コピー機などの転倒防止等)
え 衛生対策(断水状態時のトイレ等)
て 定期的に対策のチェック
さ サーバ等のデータ対策
し 従業員とその家族の安否確認方法の確定
み 水や食料、寝具等の確保
※ こちらの法則は優先順位を示すものではありません
あ:安全対策(コピー機などの転倒防止等)
キャビネットの転倒防止は対策済の企業が多いですが、抜けているのが、コピー機等、大きな電子機器の固定です。
以下にチェックリストを記載しますので、職場の状況をチェックしてみましょう。
- 大きな家具は、金具で床、壁下地の鉄骨、コンクリート等とボルト等で固定されているか
- 上下二段式の家具は上下を連結されているか
- 家具を左右または後ろ側の家具等と相互に連結されているか
- 扉の開放防止対策や引き出しの飛び出し防止対策がとられているか
- 家具類の扉や引き出しの使用頻度の低いところは極力施錠したままにしているか
- ガラスには飛散防止フィルムが張られているか
- 避難経路をふさがない位置に家具類を配置しているか
- 時計、額縁、掲示板等は落下しないように固定されているか
特に大切なのが避難経路の確保です。
社内は危険と判断した場合、即座に社員を避難させなくてはなりません。
メインとなる避難通路は直線状に確保し、幅1.2メートル以上を確保しておき転倒の可能性があるものを置かないように注意しましょう。
え:衛生対策(断水状態時のトイレ等)
1~2日、職場内での生活を余儀なくされた場合等、衛生管理に気を配らねばならない場面が多数あります。
断水等でトイレが使えなかったり、さまざまなものを触った後に手を洗うことができなくなったら?
そういった対策として、以下のようなものを備蓄しておくことをお勧めします。
- 非常トイレ用凝固剤…におい等が充満することを防げます。専用のものがありますが、猫砂やペットシーツ等でも役に立ちます。簡易便器や密閉型の汚物入れ等の用意もする必要があります。
- ウエットティッシュ…水が使えない場合の消毒に使用することができます。大き目のものを用意しておきましょう。
- アルコール除菌スプレー(手指用)…上記と同様にきれいにすることができます。
て:定期的な確認
どんなに準備をしていたとしても、状況に合わせて対応ができなければ意味がありません。
誰がどんな役割を担って、災害時どうすればいいのか。
固定物のねじが緩んでいないか、避難経路はしっかり確保されているか。
避難訓練等にて、しっかりと意識づけを社員にすることが大切です。
さ:サーバ等、データの対策
社内の対策はもちろんですが、3.11の大震災を経て、サーバを社外に出すなど、対策を取られている会社も多いのではないでしょうか。
社内にさまざまなサーバ機器が散在している状況で、どこから手を付けていいかわからない、といった場合。以下のような対策をまず取るところから始めましょう。
① サーバの仮想化などを導入
② 免震対策を施したラックに集約し、地震などの災害からサーバ環境を保全する対策をとる
サーバを集約させるとなると、かなりの音や熱が発生します。空調設備が整ったサーバルームを設けるのが望ましいでしょう。
データは会社の生命線であり、財産だと思います。きっちりと対策を考えましょう。
し:従業員とその家族の安否確認方法の確定
外出中の従業員や家族と連絡を取る方法をあらかじめ定めておきましょう。
通話制限等の場合を考慮し、電話番号やメールアドレス以外にもLINEやSkype等の導入や、災害時伝言ダイヤル等、いざという時に連絡を取るツールを確定し、周知しておく必要があります。
また当然連絡網も作成しておくとよいでしょう。
「個人情報の取扱いルール」等をしっかりと社員に提示したうえで、プライベートの携帯電話番号も控えておきたいものです。
ログインすることで書き込みのできる掲示板も効果的です。
災害時はどのツールが機能するかわかりません。AがダメならB、BがダメならAという形でルールを定めるようにし、少しでも早く稼働可能な社員の確保、緊急事態に陥っている社員の救助に努めましょう。
み:水や食料、寝具等の確保
交通機関が止まってしまった場合等、水や食料と合わせて寝具が必要という認識のない企業もあります。
たとえば各社員にひざ掛け一つでもあると、体調を崩すことを防ぐことができます。
十分な食料や水を蓄えるのは難しいかもしれませんが、可能な限りサポートできるよう、備蓄しましょう。
最後に
働く社員を守ることは企業の義務です。
「あえてさしみ」の法則で、社員を守り、いち早く通常通りの業務に復帰できるよう、常日頃からの準備が大切です。
参考資料:
職場の地震対策(東京消防庁)