若手社員の早期離職を防ぐ鍵は、管理職と産業保健師の連携
- 2026/7/27
- 新入社員

近年、多くの企業で若手社員の早期離職が課題となっています。
厚生労働省が公表した「令和4年3月卒業者の新規学卒就職者の離職状況」によると、新卒就職者の3年以内の離職率は大学卒で34.9%、高校卒で38.4%となっており、およそ3人に1人が入社後3年以内に離職しています。
人材確保が難しくなる中、若手社員の定着は企業経営にとって重要な課題です。
離職の背景には、職場環境や人間関係、業務負荷、将来への不安などさまざまな要因がありますが、産業保健スタッフが早期から関与することで予防できるケースも少なくありません。
今回は、若手社員の離職予防における産業保健師の役割について考えてみます。
若手社員が抱えやすい健康課題と早期サイン
若手社員は社会人としての経験が浅く、仕事の進め方や職場でのコミュニケーションに戸惑いを感じやすい傾向があります。
特に入社後1~2年目は、期待と現実のギャップに直面しやすい時期です。
また、学生時代とは生活リズムが大きく変化するため、睡眠不足や食生活の乱れが生じることがあります。
心身の疲労が蓄積すると、集中力の低下や意欲の減退につながり、仕事への不安感を強める要因になります。
さらに近年は、「周囲に迷惑をかけたくない」という思いから悩みを抱え込む若手社員も少なくありません。
上司や先輩へ相談することへの心理的ハードルが高く、不調が表面化したときには、すでに深刻な状態になっているケースも見受けられます。
離職予防のためには、早い段階で変化に気づくことが重要です。
産業保健師が面談などを通じて接する際には、体調面だけでなく仕事への適応状況にも目を向ける必要があります。
例えば、「以前より表情が暗くなった」「遅刻や欠勤が増えた」「業務に対する自信を失っている」「相談や発言が極端に減った」といった変化は注意が必要です。
また、健康診断後のフォロー面談やストレスチェック後の面談は、若手社員の本音を把握する貴重な機会となります。
本人が問題を認識していない場合もあるため、「最近の仕事はいかがですか」「困っていることはありますか」など、健康だけに限定しない対話を行うことも大切です。
産業保健師が安心して話せる存在として認識されることで、早期相談につながる可能性が高まります。
人事・管理職と連携した離職予防
若手社員の離職予防は、産業保健スタッフだけで実現できるものではありません。
人事担当者や、日常的に部下と接している管理職との連携が欠かせません。
管理職の中には、若手社員への接し方に悩んでいる方もいます。
指導を行うとハラスメントと受け取られるのではないかという不安から、十分なコミュニケーションが取れなくなることもあります。
そこで産業保健師は、管理職や人事担当者に対して、若手社員の特徴やメンタルヘルスに関する知識を提供し、適切な関わり方を支援する役割を担います。
定期的な面談の実施や、業務量の調整、成功体験を積ませるための支援など、現場で実践できる具体策を共有することが重要です。
また、管理職が抱える悩みを相談できる体制を整えることも大切です。
人事部門と産業保健スタッフが情報共有しながら支援を進めることで、管理職自身の負担軽減につながり、結果として部下支援の質の向上が期待できます。
安心して働き続けられる職場づくりへ
離職予防の本質は、単に退職者を減らすことではなく、従業員が安心して働き続けられる環境を整えることにあります。
そのためには、困ったときに相談できる仕組みや、失敗しても再挑戦できる風土づくりが必要です。
産業保健師は健康支援の専門職として、個人への支援だけでなく職場全体への働きかけも求められます。
面談で得られた情報をもとに組織課題を把握し、人事部門や管理職と連携しながら改善につなげていくことが重要です。
若手社員は企業の将来を担う貴重な人材です。
一人ひとりが健康で意欲的に働ける環境を整えることは、組織の持続的な成長にもつながります。
人事担当者と産業保健師が連携し、若手社員が安心して働き続けられる職場づくりを進めていくことが、これからますます重要になるでしょう。
<参考>
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」




















