
2026年5月27日、厚生労働省は「2025年(令和7年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」を発表しました。
今回2025年に発生した熱中症による死傷者数は1,803人となり、統計を開始した2005年以降で最多を記録しました。
死亡者数は19人となり、前年から減少しています。
これは、気温上昇に伴い熱中症そのものは増加したものの、2025年6月の改正労働安全衛生規則の施行によって、職場における熱中症対策が義務化されたことにより、効果を上げた可能性があると考えられています。
夏の暑さは年々厳しさを増しており、職場における熱中症対策の重要性は、非常に高まっています。
今回発表された熱中症による死傷者数の状況を見ていきながら、企業としてどのような対策をとるべきか考えていきましょう。
熱中症災害の発生状況と業種別の特徴
2025年の熱中症による死傷者数は1,803人で、前年の1,257人から約43%増加しました。
気象庁によると、2025年夏(6月~8月)の平均気温偏差(基準値(1991~2020年の30年平均値)からの偏差)は、+2.36℃と、統計開始以来最高を記録しており、死傷者数の増加の一因となったと推測されます。
業種別にみると、死傷者数が最も多かったのは製造業の365人で、次いで建設業292人、商業237人、運送業220人となっています。
工場内での作業や建設現場、配送業務など、高温環境下で身体を動かす業務で多く発生していることが分かります。
また、2021年から2025年までの5年間累計でみても、製造業と建設業の死傷者数が最も多く、全体の約4割を占めています。
さらに死亡者数に着目すると、建設業が52人で最も多く、続いて警備業が18人という結果になりました。
建設業や警備業では屋外に出ている時間が他の業務よりも多く、環境の影響を受けやすいことが考えられます。
発生しやすい時期と時間帯、年齢
熱中症の発生しやすい時期
2025年の死傷者数を月別にみると、7月と8月だけで全体の約72%を占めています。死亡者数についても約79%が7月と8月に集中していました。
さらに過去5年間のデータでも、死傷者数の約77%、死亡者数の約85%が7月と8月に発生しています。
しかし熱中症は真夏だけの問題と思われがちですが、実際には暑くなり始める時期から注意が必要です。
6月に着目すると、2022年には6月だけで10人の死亡者が発生しています。
体が暑さに慣れていないと上手く体温を下げることができず、熱中症のリスクが高まるため、早い段階から暑さに慣れることや水分補給を意識することが重要です。
屋外での作業中は、定期的に水分補給を行い、こまめな休憩をとるなどして予防していきましょう。
熱中症の発生しやすい時間帯
時間帯別にみると、熱中症は日中の幅広い時間帯で発生しています。
特に午前中から増加し、14時から15時台にかけて多く発生しています。また、死亡災害は午後に多い傾向がみられます。
さらに注目したいのが、17時以降にも死亡災害が発生している点です。
これは作業中には症状がみられなかったものの、作業終了後や帰宅後に容体が悪化したケースが含まれています。
熱中症はその場で倒れるだけでなく、後から症状が進行することもあるため、「作業が終わったから安心」「体調不良者を帰宅させたので安心」とは言えません。
業務中に体調不良を感じた場合には管理者などに速やかに報告し、帰宅後にも注意しましょう。
年齢別
2025年の死傷者数1,803人について、年齢別でみると、死傷者は、50歳代以上が全体の約52%を占めています。
また、死亡者は、40歳代以上に集中しており、50 歳代以上は全体の約84%を占めています。
高齢者の熱中症死亡率が高い一因として、体の熱を逃がす機能が低下してきたり、暑さを感じにくくなり体温の上昇に気がつきにくくなることが指摘されています。
この特性を踏まえ、高齢労働者への対策として、「全員に対して一斉休憩」「○時になったので水分補給を行いましょう」などといった、個人のプライドや自覚症状の有無に関わらず現場全体の安全を確保する声かけなどを行い、熱中症対策を進めていきましょう。
また「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」が毎年行われており、7月は重点取組期間です。
熱中症ポータルサイトや、掲載されているリーフレットなどを参考に効果的に防止していきましょう。
まとめ
2025年の職場における熱中症による死傷者数は過去最多となりました。
多くの業種で熱中症が発生しており、特に7月から8月にかけて集中しています。
また、午後だけでなく午前中から発生し、帰宅後に症状が悪化するケースもあるため、一日を通じて注意する必要があります。
熱中症は適切な対策によって予防できる災害です。
こまめな水分・塩分補給、休憩時間の確保、暑熱順化、体調確認などの基本的な対策を継続し、異変を感じた際にはすぐに周囲へ報告できる職場環境を整えることがとても重要です。
これ以上の死傷者を出さないためにも、熱中症対策を企業としても万全に行い、一人ひとりが熱中症を他人ごとではなく自分ごととして捉え、暑い季節を安全に乗り切りましょう。
監修:佐藤せな(ドクタートラスト 保健師)
<参考>
厚生労働省「令和7年『職場における熱中症による死傷災害の発生状況』(確定値)を公表します」
























唐澤さん公益通報サムネ.jpg)

