コロナ禍の自殺者数
こんにちは。産業カウンセラーの田野です。
先日TVを見ていると日本における自殺者数に関する非常に興味深いニュースが流れてきました。
その内容は、新型コロナの感染拡大が始まった昨年2月から10月までの推移を調べてみたところ、第一波にあたる6月までは前年同期比で14%も減少していたが、その後の第二波の7~10月では16%増加だった、というものです。
その中でも10月に自殺した人は全国で合わせて2,153人で、去年の同じ時期より614人も増えています。
また、特に女性は37%の増加で男性の5倍の大幅増加と深刻な状況が続いており、家庭で過ごす時間が増えたことで母親に過度な負担がかかったことが一因であるとも言われています。
わが国ではもともと1998年に自殺者が急増し3万人を超え、その後も2011年までの14年間、3万人を超える状態が続いていましが、2010年以降は10年連続の減少となっており、2019年は2万169人で前年に比べ671人(3.2%)減少し、統計開始以来最少となりました。
しかし、今世界中で猛威をふるっている新型コロナウィルスの影響により、またこの自殺者推移も大きく増えている現状にあるようです。
本日は職場でできる自殺の対策、上司や周りの同僚として気をつけるべきポイントについてお話してみたいと思います。
自殺の予兆
職場で働く際に周りの人を気にかける予防のポイントを10個紹介します。
1:うつ病の症状に気をつける
2:原因不明の身体の不調が長引く
3:酒量が増す
4:安全や健康が保てない
5:仕事の負担が急に増える
6:職場や家庭でサポートが得られない
7:本人にとって価値あるものを失う
8:重症の身体の病気にかかる
9:自殺を口にする
10:自殺未遂に及ぶ
引用元:厚生労働省「職場における自殺の予防と対応」(平成13年12月)
これらは、厚生労働省が出した「自殺予防の10箇条」です。
上記のような状態が確認できた場合は「早急に専門医への受診をすすめること」となっています。
最近ではリモートワークを推進されている企業も増えているとは思いますが、周りの方と接する際は、上記事項を気にして欲しいと思います。
では、実際に職場の中で自殺について相談をされた場合はどうすればいいのでしょうか?
自殺について相談された場合の対応
<ポイント1>
話を聴くことができるように機会をセッティングする
自殺について初めて相談された場合の対応の第1は、後回しにせずただちに本人の話を聴くことです。
相談者は「あなたなら聴いてくれる」「あなたに聴いてもらいたい」と思って相談していることが多いです。
どうしても時間の都合がつかないときは、その日のうちの可能な時間を告げて、必ず話を聴くことを約束するとこを忘れないで下さい。
この対応を怠り、その後に相談者が自殺するといった事態が発生すると、相談されたほうは強い自責の念に苦しむことにもなってしまいます。
<ポイント2>
相手の話したいこと、気持ちを受け止める
話の聴き方としては、本人が口にすることをひたすら黙って聴くことを心がけて下さい。
自殺を思いとどまらせたい一心で、いろいろと口を出してしまうこともあるかもしれませんが、そこはぐっとこらえてください。
一緒に同じ時間を過ごすことがもっとも重要で、こうした態度は一般に「寄り添う」 と表現されます。
こうした話の聴き方をしている限り、話を聴いている間に自殺行動が起こることは少なく、話をすることによって相談者の気持ちも落ち着いてくることがあります。
<ポイント3>
1人で抱え込まないで、できるだけ早く専門家に繋ぐことが大切
死にたいと思っている気持ちを本人の意思に反して第三者にむやみやたらに伝えることは逆効果ですが、専門家に話をすることの必要性について相談者を説得することは必要でしょう。
また、その際は「そうするように教えられている」といった伝え方をすることも有効的になります。
相談先例:会社内の人事部門、産業医、社内カウンセラーなど
まとめ
自殺の相談をされる、ということは相談を受けた側としても非常に重たいものになると思います。
なかには、その相談を受けることで自身が引きずられていってしまう方もいるかもしれません。
だからこそ相談された側が後悔しないように対応するということが私は大切だと考えております。
また、どんなに尽力しても相手に自殺をされてしまうことも可能性としては残念ながらあるかもしれませが、相談を受けた方は後悔しないためにも、上記で述べたポイントを心がけるようにしてみてください。
ドクタートラストでは、医療専門職による外部相談窓口サービス「アンリ」のご提供も企業様向けに行っております。
ご興味ございましたらぜひお問合せください。