少しずつ暖かくなってきたこの季節。
3月決算の企業では、業務量や自身に課せられたノルマにストレスを感じる人も多いのではないでしょうか。
また、どうしても働くうえでは、たくさんの人と接する必要があります。
そのため、ストレスのない状態を作るというのは難しいものです。
しかし、ストレスに対して自分の心の反応の仕方を知ることで、ストレスへの感じ方を変えることはできます。
「ストレスがたまったとき、自分のこころはどう反応しているか」自分のパターンを振り返ってみましょう。
こころの反応
人は不安や葛藤など、非常に辛いストレスなどから自分のこころが壊れないようにするため、自分を守ろうと無意識的に心の防御反応が働きます。
その心のしくみを「防衛機制(または適応規制)」といい、次のものが挙げられます。
・ 合理化・・・自分の言動や考えを正当化し、自分にとって都合のよい理由をつける
例)すっぱい葡萄
・ 反動形成・・・本当の自分の欲求と正反対の言動を表すことで、自分の本心を隠そうとする
例)好きな子をいじめる
・ 投影・・・自分の欠点や攻撃性などを他人の中に見い出し、他人を攻撃することで自分の中の不安をないものにする
例)自分が相手を嫌っているのに、相手が自分を嫌っていると思い込む
・ 抑圧・・・自分の認めたくない不快な気持ちや考えを無意識化に抑える
例)自分の中にある攻撃性を抑えつける
・ 代償・・・本当の目的が成しえないときに、代わりのもので満足する
例)第一志望への合格が困難な場合に、受かる可能性のある志望校へ変える
・ 補償・・・自分の持つ劣等感を他の優越感で補おうとする
例)数学は苦手だが、英語は人より秀でている
・ 置き換え・・・満たされない欲求を、他の対象に向ける
例)仕事のイライラを家族に八つ当たり、子供が巣立ったので犬を飼う
・ 昇華・・・社会的に認められない感情や欲求を、社会に評価される(認められる)形で満たす
例)破壊的な衝動をスポーツで解消する
・ 退行・・・発達を逆行し、未熟な言動をとる
例)赤ちゃん返りをして親の気を引こうとする
・ 同一視・・・優れた他者と自分を同一化し、自分のことのように満足する
例)尊敬する人や憧れの人の特徴などを真似てあたかも自分も同じであるように振舞う
自分のこころの反応に、近いものはありましたか?
1つも「こころあたりがない人」は、現実から目をそらしている可能性が高いでしょう。
自分をまもるのは自分
こころの反応のしかたは人によりさまざまですが、これらは「自分をまもるため」の反応です。
また、この反応自体は「自分のあり方」を示しているともいえるでしょう。
何か問題が起きたとき、非常にストレスだと感じた時に合理化や投影していては、何も成長しません。
むしろ周囲からの評価は厳しくなるばかりです。
抑圧や置き換えをして、現実から目を背けているだけでは何も解決はしません。
自分の狡さや小ささ、人間としての未熟である部分から目を背けずに、自身の欠点も丸ごと認めることが本当に強い人といえるでしょう。
ストレスは悪ではない
誰とも接触せずに働いて、気の向くままに生活を送ることは、現代社会においては不可能といえるでしょう。
過度なストレスは人の心を蝕みますが、まったくのストレスフリーな生活は人を怠惰にします。
「適度な焦りと緊張感」は、ほどよいストレスとなり、生活にメリハリを生むスパイスともなります。
期日のない仕事によい成果が得られないのと同じです。
ストレスは「日常的に付き合う刺激」と捉え、自分のこころの反応のクセを知る事で自分と向き合いましょう。