人間には一次感情と二次感情があります。
最近よく耳にするアドラー心理学でも、この二種類の感情について言及されており、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
一次感情と二次感情 「怒り」はどちら?
一次感情とは、「出来事から自分が最初に感じている感情」で、二次感情とは一次感情から引き起こされる感情です。
それでは、「怒り」はどちらに当てはまると思われますか?
怒りといわれると、お湯が沸くように急激に感情が昂ぶるのを想像されるのではないでしょうか?
嫌なこと、腹がたつことが起きる
→怒る
こう見ると一次感情のように見えなくもありません。しかし、怒りは二次感情なのです。そして、二次感情は一次感情を知るとうまくコントロールできるようになるのです。
一次感情に目を向ける
一次感情とは、「落胆」「悲しみ」「恐怖」「不安」「絶望」「心配」などが挙げられます。二次感情である「怒り」の前には、何かしらの一次感情があると思ってください。
たとえば、何度注意しても部下が同じミスを繰り返してしまい、ついに上司であるあなたは「いいかげんにしろ!」と本人に怒ってしまったとします。
この「いいかげんにしろ!」という怒りは二次感情です。
では一次感情を探してみましょう。
① 何度も注意したのに聞き入れてもらえなくて「悲しい」「落胆」
② 改善が見られず「不安」「心配」
③ 自分も怒られるかもしれない「恐怖」
こんな一次感情がみられるのではないでしょうか。
何故怒りが生まれたのか、それを知ることで冷静に自身の感情を知ることができ、二次感情の怒りをコントロールできるようになります。
これには、自分が怒りを感じた場面を思い出し、その背景にある感情は何だったのかを考えるトレーニングを繰り返すことが大切です。
一次感情を見つけられたら、伝える努力を
仕事上では二次感情をぶつける側、ぶつけられる側、どちらも経験することが多いと思います。
例えば先ほどの上司と部下の事例であれば「いいかげんにしろ!」ではなく、「さっきは、言いにくいことを報告をしてくれてありがとう。僕は(私は)、君がこのミスをしたことが心配だ。何かやり方がわからなかったり、困っていることはないかな?もしあれば、ぜひ申し出て欲しい」と伝えることで、相手も上司からの意見を好意的に受け止めることができ、上司への信頼が増していきます。
もし最初の時点でイライラしてしまい、強い言葉をかけてしまったとしても、取り返しがつかないということはありません。
後から「さっきは強い言葉をかけてしまい申し訳なかった。君のことが心配で思わず言ってしまったけれど、本当は、同じミスが続いていることがとても心配だった」と伝えれば良いのです。
何故この人は怒るのか、何故自分は怒るのか、それを探すことで、相互理解を深め、関係構築に役立ててもらえれば嬉しいです。