昨年のマイナンバーに続き、人事労務部門の「頭痛の種」といった話も聞こえてくる、ストレスチェック制度。
多くの企業が準備を進めているようですが、これから本格的な準備に入る担当者も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、ストレスチェックで気を付けるべきポイントを大きく3つに分けてご紹介します。
自社の産業医は協力してくれるか?
まず、ストレスチェックを実施するためには、医療職が必要です。多くの企業では、選任されている産業医が担うケースが多いでしょう。
しかし、産業医のなかにはメンタルに関する面談をしたくないという先生もいるのが実情かと思います。産業医だから対応してもらえるだろうと安易に考えて、産業医との調整を先延ばしにしてはいけません。
まずは自社の契約医がしっかり対応してくれるかどうかを確認しましょう。
産業医が対応できるとなれば、次は実施体制の準備です。
ストレスチェックを実施するにあたっては、”どのように実施するか”や”結果はどう扱うか”など、実施規定の作成が必要です。また実施の細かい部分が決定したのちは、それを社員へ周知する必要があります。
なんのアナウンスもしない状態から突然、「ストレスチェックを実施するから、この紙に至急回答してください」などというやり方は避けなければなりません。社員に拒否権が与えられている制度であることも理解しておきましょう。
受検後、ストレスチェックの回答内容や個人結果は実施者と実施事務従事者を除き、他の誰もが見てはいけません。
回答内容などに触れる恐れのある作業は実施者に依頼をし、それが難しい場合は、人事権のない社員を実施事務従事者に任命し、作業を行うようにしましょう。
社員を決して放置しない
社員にストレスチェック結果を返却したあとはどうするか。基本的には、結果を受け取った本人に判断が委ねられることとなります。
ただ、気を付けなければならないことは、判断は委ねても放置をしてはいけないということです。
個人に返送された結果には高ストレス者に該当するかどうかが記載されています。
高ストレス者とは、ストレスチェックの結果著しい高ストレス状態にあると判定された方のことで、産業医などの医師による面談指導を受けることが望ましいとされています。そのため、個人結果の返送後は、高ストレス者が面接指導を申し出るよう、実施者により勧奨することが必要となります。
申し出があったら、就業時間内に面接指導ができるよう、対象者の上司などに事前に調整をお願いしておきましょう。
企業は社員個々のストレスの状況を把握できないものの、「社員のストレスをできるだけ減らしたい」という姿勢は見せるべきでしょう。ストレスを含んだ健康教育を行うことや、セルフケアの方法について、情報を発信することを心がける必要があるでしょう。
会社に内緒で相談したい人の窓口を設ける
社員の中には、会社に知られずにメンタルにまつわる相談をしたい人もいると思います。そういった場合に備え、面談指導の申出窓口以外に、結果について相談できるような外部の相談窓口を設置することも重要です。ストレスチェックを外部委託すると相談窓口が設置されることもありますが、もし社内だけで実施する場合や、外部委託先に相談窓口がない場合は下記をご利用してみてはいかがでしょうか?
メンタル面の不安は、人に話すことで解消される可能性が大きくあります。いずれの窓口も厚生労働省の「こころの耳」というサイトでも紹介されていますので、ご検討をお薦めします。
今回のストレスチェック制度は、自身がストレスを抱えているかどうか判断するツールであり、決してメンタル不調者をあぶりだすことが目的ではありません。
しっかりとした体制でストレスチェックを行い、受検率100%を達成し、社員の健康のために次のアクションへと繋げていければ、ひとまず成功といえるのではないでしょうか。