現在、企業におけるメンタルヘルス対策は、「メンタル不調者への対応」や「休職者の職場復帰対応」という取り組みから、「メンタル不調をおこさせない職場環境作り」にシフトされています。
メンタルヘルス対策に重点を置いて取り組んでいる企業や、一定数のメンタル不調者が常に出ている事業場のなかには、産業医や保健師・精神保健福祉士などの医療職に、定期的に『カラダの健康からココロの問題まで』幅広く相談に乗ってもらう体制を積極的に作っているところが出てきています。
全従業員を順番に面談させる手も
積極的に医療職を活用している事業場では、面談の対象者を「過重労働面談」や「健康診断結果の悪かった人」という特別な理由に限定していません。
・全従業員を順番に面談させる( 定期面談 )
・面談希望者を、理由を問わずにその都度募集する( 挙手性 )
・上長が “ 面談させたい部下 ” を選び、面談を受けるように指示する
事業場の取り組みとして、面談自体が特別視されることなく、誰でも気軽に利用できる体制を取っています。
こうした相談体制が定着すると、面談時間ギリギリまで話し込む社員が現れたり、「健康相談ではないけど、話がしたかった」という従業員も出てくるようです。
雑談にも意味がある
従業員からすると、一つには「医療の専門職」であること、もう一つは「会社に関係ない第三者(相談内容の守秘義務がある)」だから話しやすいと言われています。
他愛のない雑談の中に、本音や聞きたいことが隠れているもので、面談室に「今日は雑談をしにきました」と笑顔で入室した人が、泣きながら心の底に溜まった澱を吐き出してスッキリした顔をして退室する、といったことも珍しくありません。
事業場が「気軽に面談できるきめ細やかな対応」に取り組んでいるからこそ、溜めすぎて心の問題に発展する前に、消化不良を起こしかけている事象の早期解決に繋がっているようです。
ストレスチェックにもメリット
多くの事業場では、「月に1回の産業医訪問で、特別の理由がある人だけが面談対象者として勤務中に呼ばれる」という体制が敷かれていますが、このようなやり方は面談に対して閉鎖的な印象を与えかねません。
面談の機会の活用に、積極的に取り組んできた事業場ではストレスチェックの実施にあたって
・高ストレス者が面談の申し出をしやすい空気感がある
・皆が気軽に面談しているので、高ストレス面談をしても、周囲にその事実がバレにくい
という利点もあるようです。
医療職との貴重な面談の機会を十分に活用していきましょう。