自殺は誰の周りにも起こる
皆さんこんにちは。
精神保健福祉士の笹井です。
働く皆さんにお届けする産業保健新聞、本日のテーマは「自殺」です。
先日、若手俳優の自殺が報道されました。
突然の訃報であるために、大きな話題となりました。
自殺は縁遠いもの?
日本の自殺者は2019年で約2万人いるとされます。
自殺を語るにあたって、「自分とは縁遠いもの」という認識を皆さん、お持ちではないでしょうか。
さて、あなたの身の回りに「高嶋さん」や「児島さん」はいらっしゃいますか?
「高嶋さん」や「児島さん」は日本で約2万人程度だそうです。
そう思うと自殺は縁遠いものではないと思えるかもしれませんね。
自殺をする原因は、約半分が健康問題とされています。
その是非は一概に論じれませんが、命は尊いものです。
大事な人が命を絶ってまで逃れたいことがあれば、助けてあげたいですよね。
自殺をする人のサイン
行動の変化
自殺をしようとしている、考えている人には行動の変化がみられることがあります。
<行動の変化例>
・ 急にパチンコやギャンブルにのめり込む
・ 真面目な人が無断欠勤する
・ 部屋にひきこもる、口数が極端に減る
・ 周囲への関心がなくなる、新聞やテレビを見なくなる
・ 食事がおいしくない、食欲が減る
・ 深酒が増える、逆にお酒がまずいという
・ 性生活が急になくなる
・ 身だしなみに気をつかわなくなる
・ 一人でいるのを寂しがるようになる
・ 急に昔の思い出話を出したりする
・ 少しのことで不機嫌になって怒りっぽくなる
・ 周囲の音に敏感になる
・ 交通事故や軽微なけがが頻繁におこる
・ 薬をためこむ
・ 包丁や紐を探したり隠し持つ
・ 自殺する場所を下見に行く
・ 手紙や写真の整理する
・ 大切なものを人にあげたり、整理する
・ 急に昔の級友や遠くに住む家族の消息を気にする
発言の変化
また、発言にも変化がみられる場合があります。
<発言の変化例>
・ 口癖のような訴え「死にたい、死にたい」
・ 状況にそぐわない感謝「お世話になりました」
・ 自分を責めるような訴え「生きていても迷惑をかけるばかりだ」
・ 必要以上に身体にこだわる「もう治らない病気なんだ」
・ 貧困になるという思い込み「家族みんなが路頭に迷う」
・ 厭世的、絶望的な訴え「将来に希望が持てない」「生きている意味がない」
体調不良
さらに体調の不良がみられることもあります。
<体調不良の例>
・ じっとしておれず焦りが強い
・ 痛みや苦痛を強く訴える
・ 頭が重い、ひどい肩こり
・ 便秘になる、よく下痢をする
・ 寝つきが悪い、何度も目が覚める、朝早くから目が覚める
・ 疲労感が強く、特に朝に体調が悪い
いつもと違う行動をしている時には、要注意です。
必ずしもこれら行動をしていると自殺につながるわけではありませんが、心の不調が何かしらあると考えて良いでしょう。
周りの人はどのように対応すれば良いのか
まずは声をかけることです。
ただ見守っていても、当人には伝わりません。
自殺は一人だから起こるのです。
もし、自殺を想像するような相談や発言があった際には、思い切って「死にたいとか思ったことある?」と直接的な表現をしてもよいので、聞いてみることが必要です。
自殺について、触れることに抵抗があるかもしれません。
しかし、実際に聞くことによって、その人の悩みの程度、重さ、深刻さが理解できるきっかけとなります。
逆に、行ってはいけない対応は「むやみに励ます」、「一般的な価値観や自身の価値観を押し付ける」、「自殺したいという思いを否定する」、「話題をそらす」などがあります。
そういう気持ちにならざるをえなかった経緯や原因を聞くと良いでしょう。
さいごに
もちろん、専門家ではない一般の方ができることには限界があります。
ただ、親しい人の自殺に気付けるのは、身の回りにいるあなたです。
あなたができる範囲のことをしてあげることが必要なのです。
手に余ることであれば、会社であれば産業医や保健のスタッフに。友人や家族ならば公的な機関や心療内科精神科に相談をすれば良いのです。
それでは皆さん、お体にお気をつけて。
<参考>
公益社団法人大阪精神科診療所協会「きみ死にたもうことなかれ ―身近な人を自殺で失わないために」