2021年より電子データによる法定調書類提出義務化の範囲が拡大されます。
紙媒体での提出が許可されていた法定調書類について、一定条件以上になるとe-Taxもしくは電子媒体（CD・DVDなど）でしか提出できなくなります。
これを機にe-Taxでの提出に切り替えを考えている企業の担当者の方も多いかと思いますが、いざe-Taxを利用しようとした場合に思わぬ関門があります。
今回はe-Tax導入をする前に懸念されるパソコンの対応状況を見ていきます。

法定調書類の電子提出の義務化とは？

2021年1月1日以後の法定調書類について、前々年の提出すべきであった当該法定調書の提出枚数が「100枚以上」であるものについては、e-Taxを利用して送信する方法またはCD・DVDなどの光ディスクを使用して提出することが義務づけられます。
たとえば、2019年に提出した「給与所得の源泉徴収票」の枚数が「100枚以上」であった場合は、2021年１月に提出する「給与所得の源泉徴収票」はe-TaxまたはCD・DVDなどにより提出する必要があります。
従前は提出枚数が「1,000枚以上」でしたが、電子データによる提出推進のため「100枚以上」に対象範囲が拡大するため、より多くの企業が対象となります。

e-Taxでの電子申請とは？

e-Taxとは、国税庁が運営する、国税に係る申告・申請・納税に係るオンラインサービスで正式名称を国税電子申告・納税システムのことです。
大前提として、インターネットに接続されている必要があります。

＜e-Taxソフトの推奨環境＞
国税庁によって動作を確認したパソコンの構成環境
・　CPU：Pentium4（1.6GHz）以上（またはその相当品）
・　メモリ：512MB以上
・　HDD：2GB以上の空き
・　OS：Microsoft Windows 8.1（デスクトップモードに限る）、Microsoft Windows 10
・　ブラウザ：Microsoft Internet Explorer 11
・　画面解像度：1,024×768以上
・　PDF閲覧：Adobe Acrobat Reader DC

実際にe-Taxを利用する際に考えられる問題点

①　上記で示された推奨環境はあくまで国税庁が動作を確認できたパソコンの環境であるということ

実際に使用するパソコンが上記の構成環境を満たしていたとしても、必ずしもエラーが起こらないという可能性が少なくありません。
個々のパソコンのOSの設定、ブラウザの設定、セキュリティソフトの有無やその設定、社内ネットワークの環境など、複合的な要因によって、問題なく動作するとは必ずしも言うことができないでしょう。
逆に推奨環境を満たしていなくても、動作する可能性ももちろんあります。

②　利用しようとした際に推奨環境が変わっている可能性がある

本稿執筆時点では上記の推奨環境となっていますが、今後OSやブラウザのバージョンアップなどにより実際に利用しようとした際には使えなくなっていることも考えられます。

③ メンテナンスや障害などが起こった際に利用できない

インターネットを使ったシステムなので、ユーザー側もしくはe-Tax側でシステムのメンテナンスや障害が起こってしまった場合には利用ができなくなりますが、それが起こることが事前にわからないため、対処の方法がない点が懸念されます。

e-Taxを利用するにあたって心がけて欲しい事

ここまでe-Taxの課題を上げましたが、あくまで”起こるかもしれない”ことであって、e-Taxを利用できる方がほとんどでしょう。
しかし、問題が起こってしまった場合にその解決方法がすぐにわかるとは限りません。
また問題解決に時間がかかることがあるかもしれません。
e-Taxに限りませんがこういったシステムを利用する場合には、本番で使用する以前に実際に使うパソコンでテストを行ってください。
実際に申告までは行わず、その手前まで問題なく動作するかを見るだけで構いません。
そこで問題が起きれば多少時間がかかっても解決方法を探したり、問い合わせをしたりできます。
場合によっては違うパソコンなどで試したりすればスムーズに行える可能性もありえます。
締め切りぎりぎりで問題が発生すると精神的にも焦ってしまいます。
みなさま余裕を持ったスケジューリングをして利用するようにしていただければと思います。

※今回はe-Taxソフトの利用を想定しています。e-Tax（WEB版）については異なります。