
近年の夏の暑さは我慢すれば乗り切れるものとはいえなくなっています。
気象庁は2026年4月から「酷暑日」という、危険な暑さを社会全体でわかりやすく共有するために新たな言葉を設定しました。
屋外作業はもちろん、倉庫や工場、厨房、配送、営業など熱中症のリスクが高まる場面は多くあります。
熱中症は本人が「少し気分が悪いだけ」と思っているうちに悪化することもあります。
従業員一人ひとりの注意に任せるだけではなく、会社として対応できる体制が求められるようになりました。
今回は酷暑日について、従業員を守るために職場で実施する熱中症対策について解説します。
酷暑日とは?
酷暑日とは最高気温が40℃以上の日を指す新しい名称のことです。
気象庁では気温によって以下のように名称をつけており、2026年4月に酷暑日が加わりました。
・ 夏日:最高気温25℃以上
・ 真夏日:最高気温30℃以上
・ 猛暑日:最高気温35℃以上
・ 酷暑日:最高気温40℃以上
ここで注意しなければならないのは「酷暑日以外なら大丈夫」ということではありません。
熱中症のリスクは気温だけで決まるものではなく、高湿度や風が弱い場所、直射日光や照り返しが強い環境では、気温が酷暑日に近づかなくても身体への負担は大きくなります。
職場で特に確認したいのは、暑さ指数と呼ばれるWBGT(湿球黒球温度:Wet Bulb Globe Temperature)です。
WBGTは気温だけでなく湿度や日射、輻射熱などを含めて身体にかかる熱ストレスを評価する指標のことです。
環境省もWBGTが28を超えると熱中症患者が著しく増加する傾向があるとしています。
職場でも天気予報の最高気温だけを見るのではなく、作業場所ごとの暑さを確認する視点が必要です。
職場で起こる熱中症のリスク
熱中症というと炎天下の建設現場や屋外作業を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、実際は屋内でも熱中症は起こります。
空調が十分に効かない倉庫や工場、熱源のある厨房、換気が悪い作業場、社内での待機や配送、外回りが多い職種なども注意が必要です。
また同じ環境でも従業員の体調によってリスクは変わります。
睡眠不足や朝食抜き、二日酔い、発熱、下痢などの体調不良などは熱中症のリスクが高まります。
また梅雨明け直後や急に気温が上がった日は、身体が暑さに適応しきれていないため注意が必要です。
<見逃したくないサイン>
・ めまいや立ちくらみ
・ 頭痛や吐き気
・ 大量に汗をかく
・ 足がつる
・ 身体がだるい
・ 顔が赤い
・ 受け答えがぼんやりする
・ まっすぐ歩けない など
自分自身でも注意を払う必要がありますが、従業員同士お互いに体調を確認することも重要です。
また体調悪そうに見える従業員の「大丈夫です」をそのまま信用しすぎないようにしましょう。
熱中症が進むと自分の状態を正しく判断できなくなることがあります。
周囲から見て様子がおかしい場合は作業を止めて、涼しい場所へ移動させる判断も必要です。
会社が行うべき熱中症対策
気温やWBGTの確認
2025年6月から職場の熱中症対策が強化されています。
対象となる作業では熱中症の自覚症状がある作業者や熱中症のおそれがある作業者を見つけた人が報告できる体制を定め、関係者に周知することが求められています。
対象は「暑さ指数(WBGT)28度以上又は気温31度以上の環境下で連続1時間以上又は1日4時間を超えて実施」が見込まれる作業です。
熱中症予防情報サイトのWBGT実況と予測のページで地方別にWBGTを確認することができます。
また、暑さ指数メール配信サービスもありメールで暑さ指数をお知らせしてくれるのでこちらをぜひ活用しましょう。
暑さに応じた作業調整の実施
暑さや作業に応じて休憩回数を増やす、涼しい場所で休ませる、作業時間を短くする、時間帯をずらす、複数人で交代する、ファン付きウェアや送風機を使うなど各職場でできる対策を考え実施しましょう。
職場の規模などによってできる対策は異なりますが、重要なのはその場の判断に任せきりにしないことです。
暑さが一定以上になったら何を実施するのか事前に決めておく必要があります。
忙しい職場ほど休憩を申し出にくかったり、無理せず作業してしまったりということも実際あるかと思います。
特に新人や非正規雇用など職場のルールを知らないまま我慢することもあるでしょう。
全従業員が遠慮せず作業を止められるということも重要な安全配慮・対策となります。
こまめな水分・塩分補給
個人任せにすると「のどが乾いたら飲む」という状況になることもあり、それでは対応が遅く熱中症を引き起こす可能性があります。
作業前からこまめに水分をとる、汗を多くかく作業では塩分も補う、水分摂取する時間を予め決めておくなど職場として声を掛け合える仕組みを作りましょう。
熱中症対策は個人の注意力に頼りすぎず、職場全体で行う安全管理です。
酷暑日という言葉をきっかけに自社の暑さ対策が機能するものになっているか改めて見直しておきましょう。
<参考>
・ 気象庁「最高気温が40℃以上の日の名称を『酷暑日』に決定」
・ 気象庁「気温について」
・ 環境省 熱中症予防情報サイト「全国暑さ指数(WBGT)」
・ 厚生労働省「導入しやすい熱中症対策事例紹介」






















