2024年8月、東京商工会議所は「『会員企業の災害・リスク対策に関するアンケート』2024年調査結果」を公表しました。
本調査は会員企業におけるBCP策定状況や帰宅困難者対策、行政に望む災害・リスク対策施策などを把握する目的で行われたものです。
BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。
昨今、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震の発生予期などをメディアなどで目にする機会が増えました。
しかし、目にする機会が多いことで、かえって災害対策に関する意識が薄くなっている方もいるではないでしょうか。
日中のほとんどをオフィスで過ごす方も多いため、仕事中に発災する可能性は十分に考えられます。
そのため、企業がどのくらい対策を施しているのかのアンケート調査を行った結果を確認しながら、災害対策について再度認識をしてもらう必要があります。
地震だけが問題ではない、アンケートから見える裏のリスク
「会員企業の災害・リスク対策に関するアンケート」2024年調査結果によると、BCP策定企業で最も多い「備えが必要なリスク」は地震、次いで、感染症、情報セキュリティでした。
地震に関しては回答企業の98%がリスクと感じており、その内90%がBCPで想定しているリスクとしています。
一方、感染症をBCPでリスクと想定している企業は60.9%、情報セキュリティについては、79.5%の企業がリスクと感じていながらも、43.8%の企業でしかBCPでリスクとして想定ができていないのが現状です。
現代では、電気や水道などのライフラインと並んでインターネットも生活に欠かせないもののになっていることから、地震などが発生した場合、セキュリティサーバーなどが被害を受けることにより、個人情報が流出し、ウイルスへの感染などさまざまな問題がドミノ倒しのように発生します。
これは、現在の日本の大きな課題であるともいえます。
発災時の行動
先ほどは情報セキュリティもリスクとして考えられるとお伝えをしましたが、防災対策は正に「備えあれば患いなし」です。
万が一発災した場合には、まずは自分の命を守ることが最優先です。
自宅にいる時に発災したときは身の安全を確保するため、窓ガラス付近やタンスなどの重量物付近は避けるべきです。
私が消防士として働いていた頃は、就寝時に枕元にスニーカーや笛、懐中電灯などを準備し、発災後には避難経路確保のため、玄関の扉を開けることなどを指導していました。
玄関の扉が変形すると、開くことができず避難路が断たれるリスクが出てくるためです。
また、笛は閉じ込められた際に、大声を出すよりも少ない体力で大きな音を出すことが出来るため、体力の温存などにもつながります。
スニーカーは足元に飛散した障害物から足元を守るため大変有効です。
震災時には「72時間の壁」と聞きますが、これは生存確率をもとにいわれている時間です。
水分のない状況では、人は3日が限界といわれていますので、そういった状況でも生存確率を上げるには非常用水の準備は不可欠といえます。
避難場所がわからないとき、どこに行くか
皆様は、地震が発生した際にどこへ避難をするか知っていますか?
建物の柱が壊れている場合もあり、自宅に待機しておくことが危険なケースもあります。
小学校や公園、広場など、各自治体によって避難先が指定されていますので、必ず確認しておきましょう。
外出時に地震が発生した場合は、避難場所がすぐに確認できないことがあるかもしれません。
そんな場合には近くの警察署や消防署へ避難したり、ガソリンスタンドへ避難することも頭に入れておきましょう。
ガソリンスタンドは危険物を貯蔵している施設ですが、その分耐震性・耐火性が優れており、敷地も広く作られています。
知らない街へいる時に被災しても避難できるよう備えておきましょう。
<参照>
東京商工会議所「『会員企業の災害・リスク対策に関するアンケート』2024年調査結果」