えっ、労基署職員に逮捕される?

労働基準監督署(以下、労基署)の重要な業務の一つとして、立入り調査があることはご存じだと思います。
立入り調査では、企業が労働基準法違反などがないかをを実際に調査します。
そして、労基署職員には、逮捕や送検する権限があるのです。
どういったケースで逮捕や送検をすることがあるかをお話しします。

立入り調査の種類

労基署が企業が法令違反をしていないかの調査をすることを「監督」といい、主に次の4つに分類されます。

① 定期監督

もっとも一般的な調査といえます。
労基署が年度計画などで任意に抽出した企業に対して法令全般にわたって調査をします。
事前に調査日程を連絡してから行う場合もあります。

② 申告監督

労働者やその家族などから申告があった場合に行う調査です。
申告監督の場合でも、労働者を保護するために申告監督であることを明らかにせず、定期監督のように行うケースと、労働者からの申告であることを明らかにして行うケースがあります。

③ 災害時監督

大規模な労働災害が発生したり、一定数以上の労働災害が発生した際に原因究明や再発防止の指導を行うための調査です。

④ 再監督

定期監督等の結果、是正勧告を受けた場合に、その違反が是正されたかを確認するためや、指定期日までに報告をしなかった場合に行う再調査です。

どうなれば逮捕されるの?

労働基準法102条に、逮捕についての記述があります。

<労働基準法102条>
労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う。

上記を文面通りに読み解くと、何かしらの法令違反があると、「即逮捕」となりますが、実際にはそうならないことが多いようです。
逮捕に至る条件として、「重大・悪質であること」・「労基署からの再三の指導・勧告によっても改善がない」ということが挙げられます。
逮捕・送検事例については、東京労働局が公開しています。

<参考>厚生労働省東京労働局「労働基準関係法令違反に係る公表事案バックナンバー」

労基署調査時の心得

労基署職員が調査に来た=逮捕ではありません。
慌てることはありません。
もちろん、サービス残業を強要していたり、賃金未払いなどがあるようであれば、論外ですが、通常の企業ではそのようなことはありませんよね。
労基署の職員が調査に来た時には、労働時間・賃金台帳などの帳簿類の確認、経営者さんや各責任者へのヒヤリングが中心で、場合によっては労働者へのヒヤリングも行われます。
日常から法令違反に気をつけていれば、まったく問題ありません。
法令で定められていることは「最低限」の決まりですので、むしろ「これくらい守れなくてどうする」の心構えでいていただきたいです。

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