地震大国として世界的に知られている私たちの住む国、日本。
最近では地震のみならず、台風や局地的豪雨による水害も多く発生しています。
通勤に使う鉄道路線の運行状況を早朝にどきどきしながら確認した経験は、特に都市部に住む多くの人に経験があると思います。
また、これから冬にかけても積雪による運休・通行止めが予想されます。
自然災害は朝から頭を悩ませる、まさに社会人の不安の種ですね。
今回はそんな通勤時のトラブルに焦点をあててみました。
定期券の経路と違っても、通勤災害として認められることがある
入社・引っ越しをした際に、労働者は企業に自分自身の通勤経路を提出します。
もしもその通勤経路上でけがをしてしまった場合、重度の過失がなければ労災保険を受けることができるのは、ご存じの方もいるかと思います。
そして、災害や交通インフラ都合による経路変更や移動方法の変更は、「合理的経路」として通勤災害の「通勤」に当てはまります。
たとえば土砂崩れによる迂回、氾濫警報による路線変更、積雪に伴う交通機関の麻痺でタクシーを使っての帰宅、帰宅が難しいため宿泊した友人宅やホテルから出社する道中での怪我。
いずれの場合も、企業にあらかじめ提出している通勤経路とは異なりますが、通勤災害として労災保険が適用となります。
通勤時に怪我をしたら?保険証で支払ってはいけない
注意しなければならないのは、通勤災害にあい、医療機関で治療を受けた場合です。
ふだん、体調不良などで医療機関にかかるときは保険証を見せると思いますが、通勤災害時には保険証を提示せず、「労働災害である」旨を伝えましょう。
というのも、通勤災害、すなわち労働災害は労災保険の給付対象であり、健康保険を適用することはできないからです。
もしも誤って健康保険を適用させてしまうと、その後の手続がややこしくなります。
まず、健保組合、あるいは協会けんぽに健康保険が適用された分(実際にかかった医療費の7割)を返還し、あらためて労災保険を請求する手続を行います。
このとき、けがをした人が一時的に医療費の全額を自費負担する可能性が出てくるため、事務手続きに加えて、金銭的な負担も大きくなります。
通勤時のけがをして医療機関にかかった際の手続などについては、あらかじめ社内で周知を図っておくことをお勧めします。
また、通勤災害に該当するかわからないような場面については、労働基準監督署に確認するようにしましょう。
自然災害時はがんばりすぎず、前向きに休みを取る
通常の通勤経路とは違うルートを通っていた場合にも労災保険はおりるということがわかりました。
しかしできることなら不要なけがなどせずに、健康体でいたいですよね。
会社から「各自の判断に任せる」といった情報が出ている際の自然災害時には、頑張りすぎずにご自身で会社をお休みすることを選択するということも、時には大切だと思います。
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