過去最高額!人口一人あたりの国民医療費
- 2019/11/26
- 社会保障制度
2019年9月26日、厚生労働省より、「平成29年度 国民医療費」が公表されました。
平成29年度の国民医療費は、人口一人あたり33万9,900円となり、前年度33万2,000円にくらべて7,900円(2.4%)増加しました。
総額、一人あたりともに医療費は右肩上がり
「国民医療費」とは、保険診療の対象となる傷病の治療により、医療機関などで要した年度内の費用のことです。
そのため、ここには不妊治療費など保険診療対象外のものや、傷病以外である出産費、予防接種費などは含まれません。
平成29年度の国民医療費総額は、43兆710億円で前年度42兆1,381億円にくらべて9,329億円(2.2%)増加、過去最高額を更新しています。
さらにさかのぼると、10年前の平成19年度は34兆1,360億円、人口一人あたり26万7,200円。20年前の平成9年度は28兆9,149億円、人口一人あたり22万9,200円でした。
なぜ医療費が年々増加しているのか
そもそも、昔にくらべてここまで医療費が増加している原因はなんでしょうか。
考えられる原因は以下のように挙げることができます。
・ 人口の増加
・ 高齢化
・ 医療や技術の進歩
・ 治療対象の変化
・ 薬剤価格が高い、使用料が多い
・ 検査の回数が多い
・ 一つの症状に対して受診回数が多い
特に高齢者は傷病による診察が多くなる傾向にあります。
高齢化に伴い、一人あたりの医療費が多くなることは避けられないことでしょう。
もっとも、前向きな原因としては、医療の進歩により新技術が導入されることで単価が上がっていることも考えられます。
糖尿病やメタボなど、生活習慣病の治療にかける薬剤の費用も高額のため、現代的社会における原因の一つと言えるでしょう。
医科診療医療費が最も割合を占める
診療種類別に見ると、医科診療にかかる診療費が最も多くて30兆8,335億円(全体の71.6%)であり、そのうち入院医療費は16兆2,116億円(37.6%)、入院外医療費は14兆6,219億円(33.9%)でした。
このほか、歯科診療にかかる診療費2兆9,003億円(6.7%)、処方箋で薬剤処方にかかる医療費7兆8,108億円(18.1%)、入院時食事・生活医療費7,954億円(1.8%)、訪問看護医療費は2,023億円(0.5%)、療養費等は5,287億円(1.2%)と続きます。
大きな病気や怪我で入院することより、風邪などで診察に行くほうが一般的に多いことを考えると、件数に差があるものの入院医療費と入院外医療費との費用にほとんど差がないことから、入院による治療費が非常に高いことがうかがえます。
国民医療費が年々上がっていくことは避けられない中、より健康意識を持つことや、経済的状況を見直すなど、自身に合う対策を検討していく必要があるでしょう。
<参考>
・ 厚生労働省「平成29年度 国民医療費の概況」令和元年9月26日